2月に入って,というか,その後半になって新車のデビューが相次いでいる.
 ご案内を頂いたすべての報道公開にお邪魔できるわけではないが,やはりせっかくの新車なら,出来る限り綺麗なうちに記録しておきたい.とりわけ車内は営業運転が始まってからだと,なかなかいい状態で撮影することがむつかしい.
 ということで,この2週間に取材してきた車輛の中から,昨日の富士吉田での富士急行の6000系と,今日の東京貨物ターミナルでのJR貨物ハイブリッド機関車HD300の量産機を速報としてご紹介する次第.

最初は富士急行6000系.既に“いちぶんのいち情報室”で御輿入れの様子をお伝えしている通り,JR東日本の205系電車を購入したもの.3輛編成4本,全部で12輛が投入されることになっており,まずは第1編成が“富士急の日”である2月29日にデビューした.
  元のモハ205に運転台を新設したクモハ6501が富士山(富士吉田)方先頭車で,パンタグラフはこの車輛にFPS33E()JR東日本PS33Eと同 系)が2基搭載されているが,運転室側は霜取り及び非常時用である.中間車が元モハ204のモハ6601,大月・河口湖方先頭車がクハ6551.
 外観は鮮やかなブルーの帯が基調で黒と白と黄色があしらわれており,加えてドアもブルーに塗られているため,ちょっと“本当に205系ですか?”とも思えるほど.
 なお,第2編成は3月18日にデビューの予定.この日には車輛撮影会などのイベントが予定されている.

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富士急行6000系第1編成.富士山方先頭を見る.パンタグラフが2基とも上昇しているのは撮影用で,通常は連結面方1基のみ使用.パンタグラフ形式はFPS33Eで,JR東日本のPS33Eとほぼ同系ながら,配管の取り回しなどが異なるため別形式となった.

その感は車内により強い.なにしろ,水戸岡鋭治氏率いるドーンデザイン研究所が,その個性を発揮したデザインを施したのだから.床は木張り,貫通路には暖簾…….吊り手も木製である.

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水戸岡イズムが横溢する客室.木張りの床は,昨日の記録的大雪が国鉄の極寒地向け気動車を彷彿させたが,こちらはオシャレが目的.設備的には,側扉の半自動 装置地や自動放送装置,側扉上部への情報表示装置など最先端を装備.改造を担当した東日本トランスポーテック社の銘板も取り付けられている.

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昨日の富士吉田,河口湖地域は寒いうえに大雪で,現地へ向かう中央本線も富士急行線も除雪作業に大童.なにしろ実感としての積雪量は30センチを優に越して いた.さらに降り続く雪は,列車が通過した途端にレールを隠してしまうほどの勢い.そんな中での取材になったのだが,受け付けで渡された資料類一式の中に は“遠赤外線カイロ”とタオルが.心温まる気遣いが,とても嬉しかった.

さてそして本日午後,東京貨物ターミナルの一角で,JR貨物のハイブリッド機関車HD300量産機が披露された.
 東芝から出場した1月20日の模様は,ここでお伝えした.その後,2月8日には使用開始となった.本誌では早期の取材や資料の提供をお願いしていたところ,とりあえず撮影のチャンスが与えられたものである.

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2エンド側から見たHD300-1.甲種輸送の時にお目に掛けることができなかったサイドである.そのおりに記した手摺や燈具のほか,ステップが雪で埋まることがないよう端梁の左右に板が追加されていたり,ステップが小型化されていることなどが判るだろう.

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運転室内部.試作機と比較すると,視界確保のために正面窓が拡大されたり,機器やモニタ類の配置を変更しているという.

この量産機が,実力を発揮して多数製造されることを祈りたい.もっとも,それは馴染みのDE10が引退するときでもあるのだけれど.

こうやって登場する新車の影では,引退する車輛や列車もある.なにしろ春は出逢いと別れの季節なのだから.新しいものを歓迎するとともに,去り行くものには,永年の功績を称えてやりたいと思う.