昨年2月17日のここで紹介したカメラショー,CP+(シーピープラス)が今年も開催された.残念ながら会期は2月9日から12日までで,既に終了してしまったけれど,3月号の原稿を書き終えた翌日,ちょっと早起きして朝から会場を訪問してみた感想を記してみたい.
ミゾレ模様でとっても寒かった去年とはうって変わって,真っ青に晴れ渡った横浜の“みなとみらい”地区たが,それに比例して観客の数も随分多く,会場オープン直後には,うしろが見えないほどの長い行列ができていた.
後日の発表では,3日間の総来場者数は65,120名だったとか.昨年の49,368名と比較して3割以上増えている.ということで,僕の実感は間違っていなかったことになる.
さて,多くの写真ファンの関心は,まずニコンが1月6日に発表した新しいデジタルカメラのフラッグシップD4と,そして2月8日に発表されたばかりの高画素モデルD800の現物を見ることができるだろうという期待.さらに,昨年のうちに構想が発表されていたキヤノンのフラッグシップ機1DXの展示がどうなるか.ペンタックスの645Dのシステムに新しい展開を見ることができるか.レンズ専業メーカーの動きはどうか…….あたりだったに違いない.
ニコンブース前の行列.D4とD800の体験会が催されていたが,ご覧の通り60分待ち……タイミングによっては90分待ちだったことも…….D800の
3600万画素というのは,“動くもの”を撮る僕たちには,ちょっと違う方向といえるが,新しいものに胸ときめくのは抑え難い.
大 混雑の人波をかき分けつつペンタックスのブースに向かうと,645D用の新レンズ,90mmF2.8が静かに展示されていた.ケースに入っていたので,持 ち重り感などを体験することはできなかったが,HOYAからRICOHへと資本関係が大きく変化しても着実に開発が続けられている様子を垣間見ることがで きた.
参考出品のsmc PENTAX-D FA645 90mmF2.8.“ポートレート撮影に最適な焦点距離と優れた高画質、美しいボケ味を実現”とされているが,鉄道写真においてどのような活躍の場があるのか,車輛と風景の表現力はどうなのか,発売が待たれる.
続いてはレンズメーカーを巡回してみたが,目を惹いたのがタムロンの
35mm判フルサイズ対応,SP 24-70mm F/2.8 Di VC
USDというレンズだった.標準系ズームレンズとして明るさは標準的だが,注目すべき点は,このジャンルのレンズとしては初めてとされる,手ブレ補正機構
の装備.まだ“開発発表”だけで,発売時期や火格についてはまったく触れられていなかったけれど,これまでの同社製28-75mm
F2.8のメーカー希望小売り価格57,750円より高くなるのは間違いないところだが,さて,どうなるか.これも発売が楽しみ.
開発発表で展示されたタムロンSP 24-70mm F/2.8 Di VC USDレンズのサンプル.VCが手ブレ補正機構を,USDは超音波モーター搭載を示す.Diは35mmフルサイズ対応レンズを示している.
そしてさらに会場内を巡回していたら,三菱電機が液晶ディスプレイを展示するブースに,見慣れた名前の掲示を発見した.若手フォトグラファー,長根広和さんが11時半からセミナーを行なうというのだ.これは聞き逃すわけにいかない.
鉄道写真だけでなく,フィールドでの写真撮影のテクニック,ノウハウを丁寧にわかりやすく解説する長根さん.僕にとっても得るところは多かった.
三菱電機お薦めの液晶モニターはIPSという.中でも“グラフィックモデル”と銘打ったシリーズは,写真の表示に気を使った設計で,画面で見る色とプリン
ターから出力される色の差をほぼなくしているという.自宅で同社の“Diamondtron”CRTを未だに使っている僕には,とっても気になる存在だっ
た.写真右が普通の液晶を使ったディスプレー,左がIPS液晶を使ったディスプレー.斜めから見たときもIPS液晶は色味の変化がないのがよく分かる.