東海道・山陽新幹線の300系が3月16日限りで完全引退する.
 試作車が登場したのは今から22年前の平成2/1990年.0系,東北・上越用200系,東海道・山陽本線用100系に続く,そしてJRが発足してから最初の新形式車としておおいに注目され,そして実際,大胆な外観デザインで世間を“あっ”といわせたものだった.
 量産が始まったのは2年後の平成4/1992年.昭和39/1964年の開業以来はじめての新愛称“のぞみ”としてデビュー.朝一番の列車は,名古屋を通過するということで中京経済界から猛反発を受けるという,別の意味での話題もあった.
 いまにして思えば,そこまで大胆な施策を取らなければ,東京-新大阪間を2時間半で運転することができなかったわけである.
 東海道新幹線開業30周年を記念した特集号の取材で大井の車庫(当時は東京第2運転所という名称だった)を訪問を訪問し,300系の写真を撮影させていただいたのが,つい昨日のように思い出されるのだけれど,それからでももう18年経ってしまった.
  “大胆な施策”が必要だったというのは,車輛の構成をみてもわかる.0系も100形も,今では500系ですら,第一線を退いた後は編成短縮改造を受けて山 陽新幹線の“ローカル”輸送に活路を見いだしているわけだけれど,300系に関しては,主要機器配置の関係から,それは不可能……お金に糸目をつけなけれ ばできるのだろうが,ならば新車を作ったほうが早いということにもなりかねない.
 ということで,この300系は,東海道・山陽新幹線で初めて,大きな改造を施されることなく引退する形式となった.
 JR東海でもそれを惜しんでさまざまなイベントが企画されているし,同社のウェブサイトには特設サイトを構築,今後の運転予定日や,“リニア鉄道館”でのイベントやツアーの情報が豊富に掲載されている.
 そして明日2月17日からは,JR東海に残った最後の2編成に特別ラッピングを施して運転される.そのラッピング車輛が今日の朝,東京仕業検査車両所で公開されたので,その写真を速報する次第.

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先頭車側面に施されたラッピング.ブルーのラインを上手くあしらったデザインが心憎い.ステッカーは両先頭車のほか,3,5,7,9,11,13号車のデッキ付近にも貼り付けられているが,なんといっても両先頭車が印象的だった.

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ボンネット(?)上にもステッカーが貼られている.公開されたのはJ57編成.もう1本,J55編成が現役で残っていて,そちらにも同じラッピングが施されている.

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撮影会では,700系とN700系も並べられた.700系も既に一部廃車が始まっているわけで,新幹線というのは実に動きの激しい鉄道である.最先端の技術が投入されている証であろう.

300系の活躍は,ちょうどあと1ヵ月で終わる.事故なく有終の美を飾ってほしいものである.