早いもので,もう2月となった.関西では年のはじめの3ヵ月を“いぬにげるさる”と言い習わしてきたが,1月の“いぬ”は,他の地域の方々にはちょっとわかりづらいかもしれない.漢字で“居ぬ”と書けば,すぐに理解していただけるだろうが.
 さてその1月,レイルの81号が出来上がった.
  今回の表紙は珍しく現在の写真で,EF64 1000番代が牽く“あけぼの”昨年の夏に高崎線の新町と神保原の間で撮影したもの.ご承知のとおり,日本の夜行寝台列車は本当に絶滅寸前で,定期列車と してはこの“あけぼの”の他には,“北斗星”“サンライズ瀬戸”“サンライズ出雲”“日本海”,そして“きたぐに”だけとなった.しかもこの3月には“日 本海”と“きたぐに”が臨時列車に格下げされる.
 加えてこのところの大寒波襲来によって,数少ない夜行寝台列車は運休が続き,“日本海”や“きたぐに”の乗り納め…開放A寝台車はこの格下げで姿を消すわけだし…を目論んでスケジュールを組み,寝台券を手に入れた人々を悔しがらせている.
 さて今回のレイルでは,全盛期の上野駅発着の夜行列車とその牽引機を振り返ってみた.現状の“日本海”や“きたぐに”の撮影地巡りなどを企画しないところが,我ながら実にレイルらしいと思う.
 詳しい内容は,書店や模型店で手に取ってご覧いただきたいと思う.
  今回は珍しく“手前味噌”よろしく,僕自身の写真も何枚かお目に掛けている.そのうちの1枚は,昭和46/1971年の春にEF57を見たくて大阪から東 北本線に遠征した時の撮影で,EF57牽引の急行列車なのだが,三宅俊彦さん提供の編成表に該当する編成が見当たらないのだ.

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曇り空の下野を行く上り急行列車.優等車は座席グリーン車とB寝台車が各1輛だけ.しかし普通座席車には10系が4輛も組み込まれているし,なにより郵便車が先頭に見えるということは,定期列車だと思うのだけれど…….

今 回のレイルで,足掛け6年に及んだ蔵重信隆さんの“現代中国蒸機の世界”が最終回を迎えた.会社勤めを定年前に引退し,“中国大陸の最後を見届けるために 北京に住みます”という案内をいただいた時には,本当に驚いた.それとともに,その活動をぜひとも記録したくて,すぐさま“よろしければレイルにご投稿い ただけませんか”と返信したのを,つい昨日のことのように覚えている.
 第1回は,河北省の開らん炭砿に生きる蒸機たちだった.現状レポートだけかと思っていたらさにあらず,この炭砿と鉄道の詳細な歴史が,綿々と綴られていて,またもや驚かされた.
 驚きはまだ続く.第2回は四川省の広元という町の狭軌鉄道だっ たのだが,これが監獄が運営する鉄道だというのだ.こちらは外国に住んでいるのだから,多少の軋轢はあっても大したことないだろうが,とにかく蔵重さんは 北京にお住まい(正確には長期滞在)なのだから.これからの日常にどんな悪い影響がでるか,想像もつかない.“本当にいいのですか?”と,何度も念押しを したのだが,返事は“いいです”.あとでうかがったら,一応以上の覚悟はしておられたようではあるが.
 その後も,原稿が到着するたびに新たな驚きがあった.例えば承徳-古北口間では,壮大なスイッチバックの廃線跡を歩いてみたり…….話しはじめるときりがない.
 そして昨年12月,吉林省で2輛の上游形機関車が働く炭鉱を発見したという便りと写真が電子メールで送られてきた.ほぼ纏まっていた本文を組み替えたのは,いうまでもないことである.
 それにしても,僕が蔵重さんツアーで中国大陸の地を踏んでからでも,20年以上経った.当時は“人民形が引退した!”“解放形(元のミカイ)が生きていた!”と一喜一憂し,前進形は二の次三の次だったのだから,時代は変ったものである.
  時代は変ったといえば,初回のツアーコンダクターを務めてくださったM嬢からは,“現地との連絡にファックスを使うんですけれど,彼らったら,夕方の帰宅 時に電源を切ってしまうんですよね,だからファックスのメリットが半減以下なんですよ”と愚痴を聞かされていた.今や携帯電話に電子メールで情報はリアル タイムで駆けめぐる.蔵重さんが発見,確認した最後の蒸機の記事と写真も,メールとその添付ファイルで送られてきたものである.現役蒸機が姿を消すのも無 理ないことだなぁ,と,再確認したことであった.

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蔵重さんが発見,確認した最後の現役蒸機は吉林省の営城炭砿の上游形2輛だった.写真は,本文に掲載しなかった1枚で,火が入っている上游の隣りのブルーシートに覆われた塊は,休車中のもう1輛の上游形.2011-12-10 写真:蔵重信隆

今回のレポートでは6年間の総括として,“今なお残る現役蒸機たち”の一覧と,これまで紹介してきた各地のその後が纏められている.これまで中国大陸の蒸機に興味が薄かった方々にも,ぜひご一読いただきたい.