年明け早々,“米国コダックが破産かも”というニュースが飛び込んできた.実は昨年の秋にも同じようなニュースがあったので,幾分かは“またか”だったのだけれど,続報を聞くと,かなり深刻でもあるようだ.
さらなる続報を待っていたら,昨日づけの日本経済新聞に“フィルム部門消滅”と.慌てて読んでみたら,フィルムを全くやめてしまうわけではなくて,フィルムとして独立した部門が他と統合されるというお話ではあった.
新しく誕生する部門は“企業向け事業”と“消費者向け事業”のふたつなんだそうな.ちょっと待ってくださいよ.フィルムって,どっちに入るんだ?
まぁ実際,僕も一眼レフのデジタルカメラを使いはじめてから,フィルムの消費量は大幅に減っている.追い打ちをかけたのが現像所の営業時間短縮と配達サービスの削減.だから余計にフィルムを使わなく(使えなく)なって……と坂を転がり落ちる一方.
行きつけのカメラ量販店でのフィルム売場も面積がどんどん狭くなるうえに,場所もコロコロと変わる.“持って行き場に困って”という様子がありあり.暗室機具や薬品類の品揃えでは定評のある店舗ですらこのありさま.
ある調べによれば,日本での写真フィルムの消費量は平成10年頃がピークで,その後は激減の一途.今では10年前の数パーセント程度しか売れていないのだそうである.
さてフィルムの行く末,どうなるのだろうか.どうも,富士フィルムが,世界で最後まで写真フィルムを作りつづける会社となりそうな気がする.“鎌鼬(かまいたち)現象=ビネガーシンドローム”への対処をみるにつけ,いささか不安であるものの,もう他にはないのだから.
コダックの第一報を聞いて,ちょっと暗澹とした気持ちでいたら,ほぼ同時にニコンから新しいデジタル一眼レフカメラ“D4”の発表があった.
現在のフラッグシップカメラD3の発表から約4年.そのバージョンアップ版D3Sからは2年とちょっと.その昔のニコンFからF2までのインターバ
ル,12年(昭和34/1959年から昭和46/1971年)に比べれば短いことこの上ないけれど,デジタルデバイスの進化としては,まぁ,こんなものか
もしれないとも思う.
ニコンD4のオフィシャルフォト.組み合わせられているのは50mm標準レンズ.大きさは約160×156.5×90.5mm,重さはバッテリーや記録媒体を含めて約1,340gだそうだ.D3とほぼ同じ大きさで,重さも似たようなもののようだ.
こ のD4,なんといっても“連写性能”が驚き.高精細度のRAWデータでの撮影時でも最大秒間10コマ.それを約100コマ連続させることができるという. 今やMODELERS FILEの取材に欠かせない,走行中の真横写真撮影には大いなる武器になること,間違いない.いや,あれはRAWデータで撮影したら,後処理が面倒で DTP担当に叱られること間違いないわけだが,そうではなくて,もっと軽いデータならば,連続して200コマとか,あるいはもっとたくさん撮影できるとい うことに価値があるのだ.なぜなら,高速で走行する15輛編成を撮影するためには70~80コマが必要なのであって,それを,今よりもいい品質で撮影する ことができれば,提供できる情報量も増えるという次第.
その他に,高感度での撮影性能が向上しているだろうことは容易に想像できる.その根 拠は,設定ISO値が常用で100から12,800と,D3の200~6,400やD3Sの200~12,800に比べて上下ともに拡張されていること. 増感側でいえば,今度は最大204,800まで可能だというから,もう想像の外.夜間の列車を,流し撮りでなく撮影することが可能になるかもしれない.
発売は2月16日とか.価格はオープンプライス制だが,インターネットでは50万円代後半が最安値.一般的な量販店では60万円代前半で予約を受け付けているようである.欲しい.けれど……(なんか,後ろから殺気が……).