10月の関西取材の帰途,新大阪駅から“のぞみ”に乗車したのだが,その折に在来線の跨線橋というかコンコース上で久し振りに“モニュメント”を観察することができた.
  モニュメントという言葉も正しいかどうか,なのだけれど,とにかく各種車輪が3種,保存されているのである.場所はそのコンコースの一番東寄り…神戸・岡 山・下関方面長距離列車の発車ホームへの階段付近.壁面に置かれているコインロッカーを利用するのでもなければ,あまり近寄る用事がない場所なので,ご無 沙汰していたというわけである.

置かれているのは,説明によれば大正7/1918年の汽車会社製29600の第2動輪,昭和17/1942年の川崎車輌製C57 155の第1動輪,そして新幹線0系21-50の車輪の3対.
 29600は唐津線での写真を見たことがある.
 C57 155はといえば,初めて小工式切り取りデフ(門鉄デフ)を装備した記念すべき機関車.
 21-50は昭和41/1966年の日立製で,新大阪方先頭車.もっと車輪も車軸もギヤーボックスも,検査の度に循環使用されるから,オリジナルではない.

この場所にこれらの車輪が置かれたのは昭和59/1984年のこと.新幹線開業20周年を記念する行事の一環だった.今から思えば,20周年にしては随分ささやかな記念事業だけれど,財政をはじめとする,当時の国鉄の状況からは,これが精一杯のことだったのかもしれない.
 それから既に30年近くが経過している.幸いにしてほどよく手入れされたこれらの車輪あ,これからも新大阪駅の変化を見守りつづけることだろう.
 そういえば,このモニュメントのほぼ真下では,永年の懸案だった大阪外環状線…おおさか東線の建設工事が本格化している.これが開業すれば,またこの駅の様子も大きくかわることだろうか.

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新大阪駅在来線の改札内コンコースに保存されている車輪3対.東端の壁面にはコインロッカーが,その両側にはトイレがあり,それらを利用するときに気づく人も多いが,普段は近くによるチャンスがない.

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29600の第2動輪.第3動輪は大阪市内の共永興業で保存されている.この第2動輪も元は共永興業で保存されていたような気がする.

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C57 155の第1動輪.29600とともに番号板が前に置かれているが,形式入り.現役時代の写真を見れば正面もキャブサイドも戦後様式なのだが.もっとも C57 154はテンダー背面だけ形式入りだったから,この機関車も同じだったのかもしれない.29600と同様第2動輪は共永興業で保存されている.

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21-50の車輪.現役の0系なきあと,その駆動部分を手軽に見ることができる,貴重な存在かもしれない.

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真鍮鋳物製の立派な展示理由の説明.これを見るかぎりでは,新大阪駅独自の記念事業だったと思われる.