ドイツという国のことを初めて意識したのはいつだったか,もう記憶にないけれど,1961年のベルリンの壁構築のことはTVニュースで見たことがあるようなないような…….
 今年はそれから50年,碓氷峠の電化工事が完成してAEGのアプト式電気機関車が走りはじめてから100年(開業は翌年だけど),そして日独修好150周年ということ.
 その日独修好150年を祝うお祭りが,ウェブサイトでもご案内した通り,10月23日に東京の有栖川宮記念公園と在日ドイツ大使館で開催された.
 本当はこのお祭りで記念年を締めくくるはずだったのだが,東日本大震災の影響が大きく,記念年を半年間延長することになったため,“中締め”的な位置付けとされたのだった.

前 日の雨がうそのように晴れ上がった当日,僕が会場に着いたのはオープニングセレモニーが始まる寸前だった.緑深い公園内は既に大勢の観客で超満員の様子. そればかりか公園入り口に達する行列が見えたので,なにごとかと尋ねてみたら“ソーセージ購入の列です.2時間待ちです…”.まったく驚きの盛況ぶり.よ うやくの思いで中央の広場に達し,まずは東京の日本橋で20年近い歴史を持つドイツパン屋“タンネ(Tanne)”のチーズサンドと,静岡・富士宮のドイツビール“バイエルンマイスター”を確保.

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フォルカー・シュタンツェル(Dr. Volker Stanzel)駐日ドイツ大使による開会の挨拶.150年間の友好の歴史と今後のさらなる強い絆への期待が述べられた.

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とりあえずの腹ごしらえのために確保したサンドイッチと飲み物.左からタンネのチーズサンド,バイエルンマイスターのピルスナー,ヴァイツェン.

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公園内を闊歩する操り人形(Stelzenpuppe Eumel).5人で操作する大掛かりな仕掛けだけれど,人形のひょうきんな表情と,操る人たちの真剣な表情のコントラストがとても印象的だった.

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大いに注目されたのが,ドイツ人男性と日本人女性のカップルの,会場での結婚式.DJによるインタビューでは双方の“本音”らしきものもうかがうことができて,とても興味ぶかいことであった.

隣接するドイツ大使館の敷地内でも多くの企業が展示を行ない,また,食べ物や飲み物のテントがたくさん並んでいた…….
 で,いささか疲れて,清涼飲料水を抱えてベンチで一休みしていたら,相席になったドイツ人から“ここはドイツフェスティバルだよ,ビールを飲まなくちゃぁ”と,からかわれてしまった.そりゃあ,もっと飲みたいですけれど,くたびれて酔っぱらっちゃいそうだったんだもの.

だから,というわけではないけれど,日本ではなかなか味わうことができないドイツ風コーヒー“ダルマイヤー(Dallmayr)”の代理店がテントを出していたので,思わず500グラムも買い求めてしまった.ダルマイヤーといえばミュンヘンの歴史ある食料品店.日本では高島屋などが扱っているハムやコーヒーで名高いけれど,コーヒーの味もなかなかなのである.

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ダルマイヤーのコーヒー(画面奥)と紅茶(手前).僕にとって,ドイツの朝食に欠かせない飲み物は,なんといってもコーヒーである.

このあと夕方にはクリスティアン・ヴルフ(Christian Wulff)ドイツ連邦共和国大統領が会場を訪問,皇太子殿下とともに公園内の一角に菩提樹を記念植樹された.そしてお祭りはさらに盛り上がって夜の9時まで続いた.

……ということで,今回は鉄道の話はでてきません.すみません.
 でも,会場で繰り広げられたさまざまなドイツの文化に触れ,飛び交う生のドイツ語を耳に入れる…日本に駐在していると思しきドイツ人が思った以上に多かった…ことで,ドイツの鉄道への距離を縮めることができたわけで,それこそが,僕のこの日最大の収穫となったのである.