平成14/2002年にE231系のバリエーション展開として登場した,山手線のE231系500番代.205系の時代に追加された6扉車を最初か
ら組み込んで11輛編成だった.そのため番号区分を500番として他のE231系と区別した.山手線のE231系52編成が全部揃ったのは平成
17/2005年のこと.
これでしばらく変化はないだろうかと安心していたら,今度は山手線にホームドアを設置するから,そのために邪魔となる
6扉車を廃止するという.なんということか.新規建設路線ならともかく,在来の施設にホームドアを取り付けるためには,寸法精度やスペースの問題があって
困難が多く,費用対効果が低いとされていたのだけれど.けれどまぁ,時代の流れというか,いろいろあっての決断だったのだろう.
もちろん,全体
としての安全性向上がはかられるのに対して異論があるわけではないが,なにしろ,酔っぱらいがケータイのメールやゲームに夢中になりながらホームの端を歩
いていて電車に接触しても,“鉄道が!”といわれかねないご時勢.安全確保に日夜努力し,神経を擦り減らしている鉄道会社の人々に,心から同情してしま
う.
いずれにしても方針が定められ,2輛の6扉車を置き換えるための4扉車が自社の新津車両製作所で生産が開始され,中央・総武緩行線用の E231系から1編成をその回送専用に召し上げてその間に新車を挟み込み,上越線経由で東京へ到着しはじめたのが,昨年はじめのこと.以来,続々と落成し た4扉車は,次々と6扉車を置き換え,置き換えられた6扉車は他に転用されることもなく,長野総合車両所へ送られて解体されたのである.もっとも,台車を はじめ,幾多の部品が活用されているというから,“無駄”ではないのだけれど.置き換えは後期投入車から逆順に実施されたから,最終編成の6扉車は車齢僅 か5年程度…….普通では考えられないことだ.
そしてこの9月はじめ,第1編成への4扉車組み込みをもって,すべての6扉車が山手線から姿を消した.すぐとなりの山手貨物線には,かつて山手線で使われていた205系の6扉車が元気よく往来しているというのも,なんとも皮肉な光景といえるだろう.
僕がデジタル一眼レフカメラを購入したのは,山手線のE231系が出揃った直後.だから,練習のため,しばしば沿線で“練習台”になってくれた.写真
は,D200を購入して二日目の原宿と渋谷の間.今にして思えばこの頃が山手線6扉車の全盛期(?)だったのかもしれない.2007年4月.まだ4年前の
ことだ.
7月16日,高崎線で“安中貨物”を待っていたら,思いがけずやってきた,新津からの4扉車輸送列車.随伴のE231系も電源確保のためパンタグラフを上昇させていた.この日は第3編成と第4編成用の4輛を運んでいた.
先行してホームドアを設置していた恵比寿駅と目黒駅では,6扉車が停車する位置への設置を見送っていたが,夏には取り付けを開始し,9月下旬には使用を開始した.写真は使用開始寸前の恵比寿駅.
組み替えを終えてひと月近く経った9月24日,夕暮れの池袋駅でようやく出会うことができた,全4扉編成の山手線E231系第1編成.
JR東日本では,来年度中に大崎駅と池袋駅に,再来年度には大塚,巣鴨,駒込,新大久保,目白,高田馬場,田町の各駅に.引き続いて残りの駅への設置を進め,平成29年度には全駅での使用開始を見込んでいるという.
安全度が向上すればいいのだけれど…….