関東地方の皆さんの中には,既にTVや新聞記事でご覧になった方もおられようが,JR東日本の常磐線用新型特急電車,E657系が披露された.
  常磐線特急は,昭和63/1988年の年末に落成して翌年春から営業運転を開始した,JR東日本が発足して初めての新設計特急電車としての651系.そし て,それを補完するために平成9/1997年に落成して同年の10月から営業運転を開始したE653系の2種類で運転されている.
 今回のE657系は,その両方をすべて置き換えてしまおうという構想の下に企画された.
 種々検討の結果,編成は10輛固定,そのうちの1輛がグリーン車.編成定員はグリーン車が30名で普通車が570名.E653系の最大14輛編成932名には及ばないが,651系の基本+付属のグリーン車36名+普通車602名とはほぼ同じということになる.
 車体はアルミ合金製で,E255系に始まる,近年のJR東日本の特急車に共通した独特の車体断面を採用している.
 制御システムは,いわゆるVVVFインバータ方式.主変換装置の形式はCI22.第1編成は日立製で,全ての電動車に搭載.ということは,1組の装置で4基の主電動機を制御する1C4M方式か.補助電源装置はSC95.3輛のモハE656に1基ずつ搭載.

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報道公開の席で配られた編成表.図の左が10号車でいわき方,右が上野.いわき方からクハE657-1~,モハE656-1~,モハE657-1~,モハ E656-101~,モハE657-101~,サロE657-1~,サハE657-1~,モハE656-201~,モハE657-201~,クハ E656-1~.提供:JR東日本
※この図面,大きいです.クリックされる際にはご注意を.

車 体の塗色は,僅かに赤みがかった白を基調とし,窓下には鮮やかな紅梅色,裾は紫がかったグレー.肉眼では確かにそのように見えるのだけれど,撮影してみる と白と灰色にしかみえないのだ.むつかしい.他誌編集部の仲間と,印刷の指定をどのように指示をすればいいか,ひとしきり話題になった.“普通は赤みが強 調されやすいから,赤浮き押え,なんだけど,赤浮き強調,ですかねえ?”“そなことしたら,真っ赤になっちゃうよぉ”…….さて,このブログ画面ではどん な色に見えるだろうか…….

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上野方から見た編成.前照燈ケースの形状から“ネコ型特急”と評した新聞もあったが.車体の基本色や裾は,ブログ画面でどのように見えるだろうか

パ ンタグラフはモハE657のいわき方(モハE657側)に1基ずつ取り付け.E233系のような予備パンタグラフは取り付けられていない.あれは,僕は過 剰な装備だと思う.おまけに普段使っていないものを非常用とするのは,いざという時に正常に動作するのか,素人にはとても不安に思える……これは余談.

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モハE657-201.パンタグラフはいわき方に1基装備.トイレはモハE656とクハE656,サロE657のいわき方に設備.サロE657のトイレは電 動車椅子対応.モハE657のデッキと妻板の間は配電盤やゴミ箱,消火器が備えられている.サハE657はゴミ箱と消火器が客室側に来るので車体は他のど れとも同じではない.

客席には定員分の電源コンセントが設けられ,無線LANによるインターネットアクセス環境も整えている.各車輛の屋根に植えられている,列車無線アンテナに似た形のアンテナは,N'EXことE259系で既にお馴染み.

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グリーン車客室.2/2人掛けは最近のJR東日本の電車の標準.特段の豪華さはないが,駆けごこちは悪くなさそう.シートピッチはグリーン車が1,160mm,普通車が960mm.普通車はE653形に比べると居住性が格段に向上.

5月23日に日立製作所笠戸工場から甲種輸送列車で勝田入りしたE657系は,5月27日に公式試運転を実施して正式に配置となり,6月13日からは性能試験を開始している.
  これから各種試験を行なって量産編成に結果をフィードバックすることになっている.その量産編成は,近畿車輛と日立製作所で15本150輛が秋以降に落成 することになっており,今回の1本10輛と合わせて,来春から上野といわきの間で営業運転を開始することになっている.最初はE653系使用列車を中心に 置き換えられるとのことである.

本誌では来月号で詳細を紹介の予定乞うご期待.