4月中旬の週末,仕事があって横浜へ出向いたおり,ちょっと時間に余裕ができた.天候もよく,どこかへ小散歩でもと思いついたのが,地下化された東横線の線路跡.遊歩道として整備されるという話を耳にしていたから.

東神奈川の駅から南西へ歩くこと約5分.架線柱がなく,手摺が新設されたことを除けば昔と全く変らない,国道一号線を跨ぐガードが見えてきた.今でも青ガエルが顔を出しそうな錯覚に襲われる.

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中央部が盛り上がった形の上路式ガーダー橋は,本当に昔の姿のままで保存された.国道を跨ぐ,こんな大きな構造物を,よくも保存したものだと感心してしまう.

階 段で高架橋にあがると,そこはもう,れっきとした遊歩道.線路跡という面影は薄い.なぜだろうと考えてみるに,まず,鉄道線路時代の側壁が完全に取り払わ れていること,架線柱がないこと,そして渋谷…東白楽方は階段で地上へ降りるようになっているからではないかと思われる.

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国道を跨ぐガードから渋谷…東白楽方を望む.地平に降りると,まるで最初から道だったような仕上がり.かろうじて,ゆるぅい半径のカーブが線路跡であることを示している.

横 浜方を振り返ってみれば,今度はトンネルの入り口が目に飛び込んでくる.高島山隧道.そういえば,このトンネル部分だけが防犯対策の必要性とかなんとかの 理由で公開が遅れていたと聞いていたのだけれど,みんな楽しそうに往来しているではないか.溢開通したのだろうか……帰宅後調べてみて驚いた.なんと,こ の日,すなわち4月16日に開放されたばかりだったのだ.なんという奇遇.ラッキーだったとしかいいようがない.
 トンネル内には防犯カメラが設置され,さらに両方の入り口には柵が設けられ,通ることができるのは午前6時から午後9時半までに制限されている.
 ちなみにこの高島山の上には,最初に米国領事官が置かれたことで有名な本覚寺がある.

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こんなに大きかったっけ?と思うほどに広い,高島山トンネル.強度確保のためだろうか,内巻を全面的に補修した結果として,壁面が余りにも美しいというのが広く見える理由のひとつかもしれない.

急 な坂道は,トンネルを抜けた先の横浜駅方にも待っていた.その坂道を降りきったところが旧東海道,そして右に進むと神奈川の宿に行き当たる.そして遊歩道 はここまで.国道と横浜駅との間は,なにやら大規模な工事が行われている.遊歩道……正式名称は“東横フラワー緑道”というのだそうだが……は既に“完 成”とされているから,この工事現場では遊歩道ではなく,なんらかの商業施設が建設されているのだろう.

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トンネルから横浜駅方面を望む.単なる遊歩道ではなく,この界隈に住む人たちにとっては,横浜駅との間を往来するための,便利な抜け道でもあるかもしれない.

東横線の線路跡はもうひとつある.それは横浜駅と桜木町との間.とりわけ高島町と桜木町との間である.ここは,高架橋とはいえ国の土地なんだそうで,どうなることか,

さらに先のことをいえば,近いうちに渋谷方にも新たな線路跡が出現することになっている.桜木町と併せて,注目しているところである.

※この文章,きのうのうちにアップしていたつもりだったのだが,下書き状態で公開するのを忘れていた.というわけで,昨日のうちにご覧になった方にはごめんなさい.