マリボルからは普通の国際急行ECに乗り換えて……列車番号を見るとOECとある.なんだ?と思ったら,“オーストリアの”ということらしい.同じ くICにもOICというのがある.なんだろう……ヴィーンへ.途中のセメリンク峠では列車後尾の貫通扉から線形をじっくりと観察.37年前にも通過しては いるのだが,その頃はセメリンク峠なる存在も知らなかった.加えて,同行のAさんの“すごくいい石橋が!”という声で目が覚めたというお粗末.その石橋が 連続する区間がセメリンクであることを知るのは,もう少し時間が経ってから.
 今回のヴィーンは,次の目的地への中継点.だから宿は駅のそばとも思ったが,せっかくだからとオペラの近くにした.トルコ航空の航空券をリコンファーム(予約再確認)するのに,ヴィーン事務所の近くを,という条件でもあった.

ヴィーンからは,数年前に走りはじめたオーストリア国鉄の目玉列車“RailJet”.HOでは専用機関車だけが先行して発売され,客車は第1回目生産分が瞬く間に売り切れで,新車登場での紹介もまだという状態.これの実際を体験してみようというわけである.

で,このあたりを詳しく記していると“現地レポート”の範囲を軽く越えてしまう.ということで,お話は一気にブダペストへと.すみません.
 ブダペストは,今回の旅で唯一の“二連泊”.少しゆっくりできる……かな?

MT-20110424-01
ヴィーン西駅を発車していくRailJetと,到着する初期1016形が牽くOIC.ヴィーンの駅は今,南駅が閉鎖中,西駅が大改装中と,取材するにはタイミングが悪かった.南駅の代替はマイドリンクという駅.市街地の南西部に位置する.

ブダペストの大鉄道ターミナルは,東,西,南の3ヵ所.ほとんどの国際列車が出入りするのが東.多くの模型製品のハンガリー国鉄仕様客車の車体裾に記されている“Keleti pu”というのが,それ.滞在中に,全ての駅を観察してみる予定で,状況をハンガリー政府観光局にお尋ねしたところ,日本人スタッフのKさんが実は鉄道好きで,実に親切,有益なアドバイスをたくさんいただけた.
  そのひとつが“駅での撮影は原則自由で,とがめられることはまずないです.改札もありません.けれど,不正乗車を防ぐために切符の確認をしています.でも 入場券という制度はありません”とのこと.ではどのように,との問いに“鉄道好きで写真を撮りに来た”とカメラでも見せればいいのです”.なるほど.

ブダペストの宿は,観光局に紹介していただいたメルクール・ブダペスト・コロナ.僕には勿体ない高級ホテル.しかし,西駅にも東駅にも行きやすいというロケーションは大いに魅力.おまけに,僕に割り当てられた部屋の窓からは47,49系統を走る市電の姿と音が…….機嫌が悪いはずがない.

MT-20110424-02
東駅では夕方から各国各方面への国際夜行列車が次々と発車していく.写真はチェコ,ポーランド,ハンガリーの混成.機関車はスロヴァキア国鉄の350形.

旧市内の移動は地下鉄と市電.市電は系統番号を理解するのにちょっと時間を要するけれど,うまく使いこなせば,いろいろな方面へ便利に移動することができる.今回は72時間切符を購入したので,本当に気兼ねなく乗り放題.

MT-20110424-03
西駅の前を通り,ドナウを渡る路線は新型車で統一されていた.それ以外の路線では旧型車がまだまだ主力のようである.全貌を知るためには,どのぐらいの日時が必要だろうか.

そして今日の午前中は,西駅から数キロの所にある鉄道歴史博物館へ. ハイシーズンには西駅から動態保存の気動車が送迎列車として走るということで,それの発車が10時半と記されていたので待ってみたが,一向に来る様子がな い.案内所で訊いても不得要領.というころで,本日は特別列車はない,と判断して地下鉄の客に.3号線で北へひと駅.そこで市電の14系統に乗り換えて 10分ほど.停留所名は“Rokolye”.そこから数分歩いたところに,博物館というか鉄道公園の入り口はあった.
 ちなみにこの14系統の沿 線は,社会主義時代に建設された大団地があったり,いささか草臥れた19世紀か戦間期の集合住宅がたくさんあって,ちょっとノスタルジックな雰囲気.走っ ているのが社会主義時代に購入したチェコのタトラというから,舞台仕立ては上々.時間があれば,沿線を歩いてみたかったのだが….

MT-20110424-04
静態保存の蒸気機関車だけでもこれだけの数.電気機関車や客車,貨車などもたくさん保存されており,さらに整備待ちの車輛も数え切れないほどたくさん留置されていた.まったく羨ましい限り.

と にかく2時間半,休む暇もなく敷地内を巡って,それでも車輛の全景写真と説明板を撮影するのが精一杯.たっぷり半日は時間を取りたいものである.園内には 食堂もあった(平日も営業しているかどうかは不明だが).とにかく,機関車に限らず電車気動車客車貨車.饋電設備に給水柱に跨線橋…….ありとあらゆるも のを保存しようという努力と熱意と,それを実現することができる環境が羨ましい.