報道公開の模様は既に新聞やTVで報じられているスペーシア Xこと東武鉄道N100系電車.先週末の21日,早くも昼間の試運転が東武日光線内でスタートしたようで,いつも写真を寄せてくださっている石黒一明さんが,その麗姿を届けてくださった.
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利根川沿いを走るSPACIA X(スペーシア X).白にやや青味が掛った“胡粉色”だという,デリケートな色合いの車体が,春の陽を存分に浴びて,艶やかに光る.新古河-栗橋 2023-4-21 写真:石黒一明
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報道公開当日の南栗橋車両管区でのN100系第2編成.浅草方から東武日光・鬼怒川温泉方を向いて撮影.石黒さんの写真とは反対サイドとなる.この日は朝から本降りの雨で,外観の撮影には苦労したが,東武鉄道の皆さんのご尽力により,悪条件下としてはベストな撮影ができた.

ただ,新聞やTV関係向け報道公開が実施されたの翌日は好天に恵まれた.それは,TVや新聞をご覧になった方ならご存じのことと思う.悔しくなかったかといえば,嘘になる.天気のコントロールは誰にもできないことだから,なにもいえないけれど.

既報だとはいえ,やはり気になるのがそのインテリア.外観が2021年11月11日に発表されたのに続いて,翌年4月26日にはインテリアデザインが公表されて,その多彩ぶりに驚いたことである.
 実物大のモックアップは,昨年7月に公開された.これは9月号のCoffee Cupで,“東武鉄道 新特急車”SPACIA X”への期待”と題して詳しく紹介している.残念ながらモノクロページになってしまったので,改めてここで,駆け足ながらも“ほんもの”をお目に掛けよう.

インテリアは,6輛編成6種類のカテゴリーが存在する.JR線との直通運転を行なうならば,このカテゴリーを,どのようにJRの指定券発売システムに組み込むか,というのが課題となるだろう.
 まずは東武日光・鬼怒川温泉方先頭車である1号車(N100-6形)がコックピットラウンジ.総定員は20名.
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山側に4名席,海側に2名席がセットされ,運転室の直後には1名ずつの席も用意されたコックピットラウンジ.撮影ポイントの背面にはカフェカウンターがしつらえられている.

2号車(N100-5形)は第2編成では車号がN102-5となる.この付番方法は100系スペーシアなど他の特急車と同じである.
 客室はプレミアムシート.浅草方には車椅子スペースを設置している.合計定員は35名.
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山側が2名,海側が1名で,バックシェルタイプのリクライニングシートである.動作は電動式.写真は東武日光・鬼怒川温泉方から撮影.

3号車(N100-4形)と4号車(N100-3形)はスタンダードシート.定員はそれぞれ56名.
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やはり東武日光・鬼怒川温泉方から撮影したスタンダードシート車N102-3.腰掛の表地はプレミアムシートと対照的な寒色系で纏められている.

5号車(N100-2形)はスタンダードシートのほかに東武日光・浅草方車端部に4名分のボックスシートが設備されている.また,大形車椅子対応席と大形車椅子対応トイレ,多目的室が浅草方に備えられている.スタンダードシートが18名,ボックスシートが4名で合計22名.
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ボックスシート.腰掛の幅は1.5名分ぐらいありそう.モックアップでは1名分だけの展示だったのだが,向かい合わせになるとまた趣が変わって見える.
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大形車椅子対応トイレの内部.東武鉄道ではバリアフリートイレと呼称している.

6号車(N100-1形)の東武日光・鬼怒川温泉方山側には1室定員4名の個室が4部屋並ぶ.先頭寄りのコックピットスイートを合わせて定員は23名.
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個室内部.ソファ状腰掛の座面は窓側壁際まで回り込んでいる.この画面には写っていないが,通路側には展開可能なテーブルが備えられている.

そして最後がコックピットスイート.
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定員は7名だが部屋単位での販売となる.撮影位置から振り返れば,運転室を通して浅草方の前面展望を気心の知れた7人で独占できる.まったく豪華な,往年の展望車よりも贅沢なクラスといえよう.

運転室は両先頭車で共通.視界は充分.
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さまざまな形の窓は,JR東日本のE001系“四季島”を連想させるが,運転室を取り囲む窓の形は,こちらの方が複雑である.

お目に掛けたいシーンはまだまだ無数にある.これから取り掛かる追加取材によって明らかになるディテールも多いことだろう.いずれ近いうちにMODELERS FILEでご紹介するのは間違いない.乞ご期待!