9月26日,西武鉄道東急電鉄小田急電鉄は“西武鉄道と東急電鉄・小田急電鉄「サステナ車両」を授受”と題したプレスリリースを発表した.
 西武鉄道がかねて構想を発表していた,他社からの車輛導入計画が具体化したわけである.

発表では東急9000系が多摩川線,多摩湖線,西武秩父線,狭山線で使われている車輛の置き替え.小田急8000形が国分寺線で使われている車輛の置き替えとある.
 具体的には,まず東急電鉄から4輛編成化した9000系と9020系あわせて18編成72輛全部を上記各線区に入れる.これは現在の4000系(“52席の至福”を除く)が11編成,多摩川線の101系が7編成で合計18編成在籍しているのと,ぴったり合致はする.けれど,多摩湖線で使われている9000系はどうなるのか…….
 小田急電鉄からは8000形6輛編成を,使用線区と想定される国分寺線での所要数がどのぐらいか……合計約100輛という発表から引き算すれば28輛ということになるのだが6輛編成では割り切れない.5編成30輛? 
 なお小田急8000形は,当初発表の“無塗装車”ではないわけだが,西武鉄道によれば“鋼製塗装車であっても環境負荷削減の目標値を達成できることが判明したので導入を決定したのだそうである.リリースには記されていないが.

投入時期は,5000系への置き替えや総車輛数の削減計画が推進されている小田急はともかく,東急9000・9020系については,公表されている新造車が入らないことには,手放すことができない.そこで発表では“最初は2024年度(令和6年度)の小田急8000形.東急9000系は2025年度(令和7年度)以降”となっている.以後,2029年度(令和11年度)まで順次,ということである.
 だとすれば,まだ両形式とも,古巣での記録は間に合うことになる.けれど,だからといってのんびりもしていられないことも,間違いない.
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西武線では東急電車そのものは,まったく珍しくない.日常的な風景である.けれど秩父線や多摩川線,多摩湖線などでは,きわめて目新しい存在となるだろう.写真は多摩丘陵地帯を行く9110編成の回送列車.たまプラーザ-あざみ野 2022-10-5
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2000系を更新して誕生した9020系.写真は9020系に改番前の試運転風景.翌年2月には9020系となってしまうから,今となっては貴重な姿といえる.二子新地 2018-11-11
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小田急最後(多分)の鋼製通勤車.新しい小田急顔として大好きな電車のひとつだった.鋼製とはいえ腐食しやすい部分にはステンレス鋼を採り入れているから,耐久性は充分だろう.制御装置もインバータ方式に更新されているし.それにしてもどんな塗装…ラッピング?…デザインになるのだろう.写真は小田原方が8553の6輛編成で,かつて“オーキッド号”や“フラワートレイン”などに起用された経歴があり,今もなお現役である.祖師谷大蔵 2019-11-11

さて現実世界の西武電車といえば,3週間前にお別れイベント開催の企画をお知らせした新宿線2031編成.池添智和さんが,小手指での撮影会前々日,急行運用に遭遇したと,写真を送ってくださった.
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2507編成を従えた10輛編成での急行.最後の晴れ姿ということだろう.東村山-所沢 2023-10-2 写真:池添智和

小手指での撮影は曇天…涙雨も降っただろうか…模様だったが,10月5日(今日だ!)の横瀬への最後の旅立ちは,さわやかな秋晴れだった模様.なによりだった.

さて10月3日には,ずっと池袋線で働いていた2077編成が6輛編成となって国分寺線での運用を介したとのこと.
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“国分寺”の行先を表示した2077.池袋線住人にとっては新鮮というか違和感あるというか…….東村山 2023-10-3 写真:池添智和
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これまでの6輛編成車と違い,電動車のパンタグラフは2輛とも1基ずつ.東村山 2023-10-3 写真:池添智和

新宿線の動きに気を取られていたら,僕の足元にも変化がひとつ.9月29日に,“西武有楽町線開通40 周年記念車両 運行開始”が発表された.6000系1編成に,営団地下鉄7000系の帯色を彷彿させるカラー(当時は“からし色”と呼ばれた)のラッピングを施すというのだ.運転開始は10月1日.昨日の小手指での撮影会にも姿を見せたようである.しかし例によって地元ながら,なかなか遭遇できなかったのだけれど,ようやく今日の夕方,練馬の駅で捉えることができた.
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夕焼けを背景に姿を見せたのが6117編成だった.風は涼しいというより,少し寒いぐらいだったけれど,雲は入道雲のような…….でも,これでは帯が青なのか黄色なのか,よく判らない.
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停車中の姿で,ようやく正面と側面の帯が判然とした.正面は確かに“からし色”のようだ.でも側面は……中央・総武緩行線の黄色…カナリヤ色…のように見えなくもない.明るい太陽光のもとで,改めて観察してみなくては.
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40年前の新桜台駅における発車式の模様.つつましく,ささやかな規模の式典だった.写真:西武鉄道

この6117編成(西武のリリースでは6017編成),11月からはヘッドマークも掲出するという.
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40年前のヘッドマークを模したようなデザインである.写真:西武鉄道


この西武有楽町線の開業とその後の路線延伸に拠って,わが江古田界隈の住宅や商店街の様子は劇的に変化することになるのだが,それはまた次の機会として,まずは40周年を祝うことにしよう.