今回の地震について,状況確認をしているうちに,いくつもの,賞賛すべきできごとがあったのを知ることもできた.世の中,本当に便利になったもの
で,職場や自宅にいながらにして,16年前の神戸の地震のときとは比べ物にならない分量の情報を,手元に手繰り寄せることができる.
それらは,例えば国土交通省が
纏めている“災害情報 平成23年東北地方太平洋沖地震(総括)”や国土地理院が撮影した地震発生翌日の空中写真のような,事実を冷静客観的に列挙した資
料や,地方紙のほんの小さな記事の中から見いだすことができるのだけれど,大マスコミの多くは,そういう[無事]であることは,大きくは報じてくれない.
例えば,仙石線の2本の列車が,永らく連絡不能であったことは報じられ,その後,確認されたことも伝えられたのだけれど,津浪に流された車輛はTVや新聞
に何度も登場したのに,もう1本の列車については,なんら報じられなかったように思う.ならば自分で探すしかないだろうというわけで,国土地理院の“平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震による被災地の空中写真”
を探して,見つけた.その列車が,野蒜駅の少し石巻方にあるカーブした切り通しの中に,ひっそりと佇んでいる写真を見いだしたときには,本当に驚いた.写
真を見るかぎり,偶然この場所に停車したとは,とても思えないのだ.乗務員が機転をきかせて,津波に対して安全な場所を選んで意図的に停車したのだと,信
じている.
常磐線の新地駅に停車中のE721系2連×2は,残念なことに津波の猛威の前に線路から大きく逸脱して大破してしまったけれど.乗客も乗務員も,無事であったと報じられた.地震を感知した乗務員が,跨線橋の上に乗客を誘導したというのだ.
どちらの状況も,“安全確保”という精神がしっかりと身についている,確かな証しであろう.なにしろ地震が発生したときには新幹線も含めて列車がたくさん走っていて,被災した列車も多いのに,乗客に死者が一人もいない,というのは驚嘆し,賞賛すべきことだと思う.
ちなみに野蒜駅の写真は“石巻市周辺”に含まれている.写真番号はCTO-2010-4-C04_1508.jpgである.
“陸中野田駅~久慈駅間で復興支援列車を運転します。” という三陸鉄道のリリースも,大きな驚きだった.路線図を見れば判る通り,運転区間は,距離にして約11キロ.ほんの2駅に過ぎない.過ぎないけれども, 地元の人々にとって,“列車が動いている”という事実は,大いなる心の支えになるに違いない.しかしその三陸鉄道では,高架橋が崩壊して島越駅が消失して しまうなど,甚大な被害を受けているのだ.そんな中での列車運行再開には,大いなる意気込みを感じざるをえない.
三陸といえば,各地に小さな酒蔵がある.しかし“口を運ば”なければ味わうことができない銘柄が多い.
ところが,地震直後の週末,気分転換に近くの酒屋さんに出向いたところ,棚からの視線を感じた(いや,オカルトなどではない.皆さんも,似たような経験をしておられるはずだ.酒屋ではなく模型屋であるかもしれないけれど).
近づいてみれば,大きく“純米酒”.醸造元は陸前高田市…….“酔仙”というお酒だった.すぐさま購入したことは,いうまでもないだろう.
持ち帰って,改めて観察(!)し,記された住所はを検索してみたら,そこは何度もTVに登場していて,市街地は跡形もない.なんたる.
さらに見れば,ラベルには会社のURLが.恐る恐るアクセスしてみたら,生きてるではないか.外部サーバーなのか?それとも?
さっそく夕食時に開封したのだが,“米の旨味とバランスの良さ…冷やで良し、燗で良しの呑み飽きしない、ふるさとの純粋で素朴な味わいをお楽しみ下さい。”とある通りの素直な呑み口だった.
14日の月曜日,東京電力の五月雨的停電による混乱をかいくぐって出勤してきた堀口嬢にこの話しをしたのだが,翌朝,さらなる混乱にもめげず会社に到着して一番のセリフが
“あのお酒,陸前高田でしたよね”と.
きょとんとしていたら,
“陸前高田の酒造会社の社長さんがNHKのインタビューに出てたんですよ!”と.
間違いないと思いながら,件のサイトにアクセスし,“会社概要”に登場する社長さんの写真を見せたら,一瞬首をかしげたものの,すぐに
“髪の毛を乱して,ヒゲを生やせば……この人です!”.

“酔仙 純米酒”.復活してください.復興の祝い酒として,呑みたいです.
仙台港には船舶が接岸して救援物資の搬入が始まった.上越線経由だろうか,根岸から日本海縦貫線を経由しての貨物列車による石油の輸送も開始される.
不通になっている各路線の開通や,被災した車輛の修復も待ち遠しいが,その計画,施工,管理に関係する人々は,くれぐれもご自身の健康第一で業務に携わってください.祈ってます.
2011.03.22.09:09:さらに誤記訂正(すみません)