さて,とれいん新年号.おかげさまで好評で,各方面で話題にしていただいているようである.
その新年号の表紙.このところ(いやこの先も),東武といえば“これ”というわけで,東京スカイツリーと東武電車を絡めた写真を撮ってくるように,との指令が飛んできた.しかし既にあちこちで発表され,2011年の東武鉄道カレンダーの表紙からして…….
しかも,あまり早い時期に撮影したのでは季節感があわないし,そもそも,日々成長しているスカイツリーのことだから,絵柄に新鮮味がなくなってしまう.と
はいえ,締切間際まで粘りすぎたら,いい天候に恵まれないままに終わってしまうかもしれない.毎日のルーチンワークからも抜けられない……ということで,
天気図と他の仕事を睨み合わせながら,タイミングを待ったのだった.
そして出掛けたのは,結局のところほとんど締切ギリギリ,11月27日の土
曜日.朝一番にツリーの東側,具体的には東武線の曳舟と業平橋の間の踏切で撮影を開始して,順に西に向けて順次移動するという手筈.東武電車なんて,いく
らでもやってくるから楽なもんでしょと思っていたら“車輛は30000系で”とリクエスト.うむ.
最初の撮影ポイントである踏切の脇には,東武鉄道特設の“お立ち台”がある.この春に,工事現場の一角を仕切って安全な撮影場所として,東武鉄道が設置したスペースなのだが,夏の終りごろに櫓を組んだ“お立ち台”が設けられたのだった.

踏切脇の撮影広場とお立ち台.日に日に高くなるスカイツリーを撮影するには,11月末時点では既に苦しく,おまけに,目の前に架線柱の支持ワイヤーがあって,いわゆる鉄道写真にはちょっと不向きだった.最寄り駅は京成電鉄の押上.
写真撮影についての注意掲示板を気にしつつ,踏切脇で2時間ほど粘ってみたのだけれど,障害検知装置や背景の赤い看板などをかわしながら電車とスカイツリー全体を画面におさめるのは,なかなか難しかった.おまけになにより,30000系が来ない.
日が真南に回る頃,押上経由業平橋方面へ向け,北十軒川沿いに移動を開始.川越しに見る業平橋駅構内は,既に往年の面影を偲ぶよすがもない.
業平橋駅脇を通過する時に業平一丁目交差点を見たら,なにやら人だかり.普通のそば屋なのだけれど,店の前で記念写真を撮る人の姿もある.ショウウインドウを覗いてみたらそこには“タワー丼”なる品名と見本があった.

大きな海老の天ぷら3本を組み合わせてスカイツリーに見立てた“タワー丼”.思わず食べに入りそうになったが,日射しがどのように変るか判らない撮影中とあっては,諦めざるをえなかった.捲土重来.お店の名前は“更科 かみむら”値段は1,800円.
空 腹を抱えつつ向かった先は“源森橋(げんもりばし)”.ここも観光客で大賑わい.電車がやってくると橋の上は,どこぞの有名撮影ポイントと変わらないほど の空気の張り詰めよう.橋のすぐそばには屋形船が繋留されていて,それも絡めて……と工夫してみたのだけれど,どうがんばっても表紙の比率にはおさまらな くて,早々に諦めてしまった.

源森橋の賑わい.人々を画面に採り入れてのカットも狙ってみたが,手前の道路に車が来てしまうとどうしようもない.リスクが高いということで,諦めた.この,スペーシアとの取り合わせではタイミングがよかったのだが.
こ こでも約2時間滞在し,さらに隅田川に近い枕橋(まくらばし)へ.源森橋と似たような条件だけれど,高架橋脇の手摺が高くて……と思ったら,隅田川鉄橋に 続く中路ガーダー橋だった.しょうがないので源森橋へ舞い戻り.その途中,高架橋を観察していたら,なにやらオシャレな窓を見つけることができた.

オシャレなデザインの窓と軒飾り.この高架橋が完成した昭和6/1931年当時からのものと思われる.今は,東武鉄道直営の本屋さんである東武ブックスの本社事務所として使われている.新年号もたくさんあずかっていただいた.
そのあと,隅田川鉄橋の周辺を探索し,さらに夕日に映えるスカイツリーを…と源森橋へ戻ってみたりしたのだが,15時前から大量の雲が湧いて出てしまい,狙いは実現しなかった.
なお,年末も押し迫った12月27日,東武鉄道では,業平橋駅を“とうきょうスカイツリー”に改称すると発表した.実施は平成24/2012年春の予定とのこと.この辺り一帯,名実ともに変容しはじめたようである.
スカイツリーが完成したら,また撮影に出向きたいと思うけれど,今回の撮影時点よりもさらに100mも高いツリーを,どうやってうまく絵にするか,大変難しいことであろう.大いなる課題である.
というところで,今年の僕のブログ担当はおしまい.1年間,ありがとうございました.新しい年もご贔屓くださいますよう,お願い申し上げます.