きのうと今日とあした,千葉市の幕張メッセで第8回 鉄道技術展(主催:産経新聞社)が開催されている.
その中日である今日,会場を巡ってきた.会期はあと1日しかないが,行こうかどうしようか,まだ迷っておられる方のためにも,見てきた注目事項を,やはり駆け足でご紹介してみようと思う.なお,紹介順序は基本的には巡った順だが,必ずしもそうとも限らない,アトランダムであることを,ご承知いただければ幸い.
なおこの鉄道技術展は,2年に1回の開催…ビエンナーレである.前回第7回の模様は,2021年11月25日のここでご紹介している.
なお,2年前と同様,今回は異例に長く,写真の枚数も多くなっていることをお断りしておきます.今年も,実に内容の濃い1日だったのです.
最初に目に飛び込んできたのがLED前照燈と尾燈.コイト電工製の第二世代小型モジュール式前照燈と尾燈である.
その特徴は,前方だけではなく側方にも光をもたらすことが可能であり,それによってこれまで以上にデザイン性に優れた燈具を作ることが可能となる.また断面を六角形にした尾燈モジュールも出品されていた.モジュール間の隙間をなくして,より明るい尾燈を作り上げることができるわけである.
その中日である今日,会場を巡ってきた.会期はあと1日しかないが,行こうかどうしようか,まだ迷っておられる方のためにも,見てきた注目事項を,やはり駆け足でご紹介してみようと思う.なお,紹介順序は基本的には巡った順だが,必ずしもそうとも限らない,アトランダムであることを,ご承知いただければ幸い.
なおこの鉄道技術展は,2年に1回の開催…ビエンナーレである.前回第7回の模様は,2021年11月25日のここでご紹介している.
なお,2年前と同様,今回は異例に長く,写真の枚数も多くなっていることをお断りしておきます.今年も,実に内容の濃い1日だったのです.
最初に目に飛び込んできたのがLED前照燈と尾燈.コイト電工製の第二世代小型モジュール式前照燈と尾燈である.
その特徴は,前方だけではなく側方にも光をもたらすことが可能であり,それによってこれまで以上にデザイン性に優れた燈具を作ることが可能となる.また断面を六角形にした尾燈モジュールも出品されていた.モジュール間の隙間をなくして,より明るい尾燈を作り上げることができるわけである.
続いてはメトロ車両.前回は北陸鉄道向けに改造した03系電車が走っていたのをご紹介した.今年も,車輛リニューアルについての写真パネルがあり,500形や3000形の復元工事や05系の大規模工事(B修)の様子,03系の長野電鉄向けと北陸鉄道向けの実物写真が……あれ?上毛電鉄などという名前も,ちらりと見えた…….
車輛保存は,単なる保存ではなくて,技術の伝承や能力の向上という実用上の役割も果たしていることを示す写真パネル.右下の工事中の車輛は?
現代の踏面ブレーキの主流を占めるユニット式ブレーキ装置のカットモデル.動作状態でのカットモデル製作には,並々ならぬ技術力が必要である.教材として活用されるのだろう.
次に訪問したのはクノールブレムゼ.前回は紹介できなかったが,今回は注目すべき製品がいくつもあった.
車輪取り付けタイプのベンチレーテッドブレーキディスク内部に複雑な換気制御フィンや冷却ピンを設けて空気の流れを最適化し,ブレーキディスクの発熱を抑えるとともに走行抵抗を減らすという工夫が施されている.
モジュール化されたブレーキ制御ユニットを,日本の車輛に適したローカライズを施し,箱も日本の鉄道車輛で使われている形態のものを用意するという.
もうひとつ.グループ内に迎えたスペインの空調機器メーカーMERAKをブランドとして,日本の車輛向け空調装置もアレンジできるとアピール.中東地域向け車輛にも採用されているので,日本の高温多湿でも大丈夫.能力は70,000kcal/hぐらいでも可能だという.カナダ向けユニットのキセが展示されていた.
次は日本製鉄グループ.
保線用機械の大メーカーであるスペノは,カフェラウンジを設けるなど,欧州での見本市の雰囲気を再現したような雰囲気のブースだった.
シュタッドラー,セシュロン,マティサなどがまとまって出展していたスイスパビリオン.
JR西日本もグループ各社で纏まって出展.その中で目を惹いたのが,JR西日本新幹線テクノス.福岡県那珂川市と春日市でふるさと納税のお礼品に採用されたという新幹線500系を中心とするグッズ類.JR西日本の“トレインボックス”での販売も期待される.
工進精工所には,前回に続いてエアベローズによる上昇と自重による下降というシステムを採ったパンタグラフが展示されていた.今回は,前回と同じ開発品のほか,ブルーに塗られた,大ストロークのパンタグラフが加わっていた.外国鉄道向けだという.
前回の展示品は,同社のウェブで,形式はKP9993,ストローク1,620mm,直流1,500V用,重量130㎏と発表されている.今回新たに展示されている“大ストローク”は既存品の1.5倍とある.
東洋電機製造では円弧歯筋歯車による駆動装置を開発展示.スラストを抑制して円筒ローラーベアリングの採用を可能とし,メンテナンスの手間が軽減できるという.
地方鉄道応援プロジェクト.30の鉄道事業者と日本民営鉄道協会,第三セクター等協議会が出展して展示やグッズ販売などを行なっていた.
そして,デザイナーズイブニング.これがあるから,訪問を今日にしたようなものである.
今回は,まず第1部として“鉄道とブランディング”がテーマ.新京成電鉄と南海電鉄と,そして第2ルートでの東京都心乗り入れを果たした相模鉄道の3社から,それぞれの戦略が発表された.
第2部は,鉄道車輛デザイン研究会プレゼンテーション.アルナ車両はリトルダンサーについて.川崎車両は科学的アプローチを用いた製品・ブランドづくり.近畿車輌は“Make Brand by Design”.総合車両製作所はサスティナのブランディングストーリー.東芝インフラシステムズは台湾鉄路のE500 形を題材にした,鉄道ブランディングに寄り添う機能美.新潟トランシスは,国鉄というブランドと新潟トランシス.日本車両は日本車両が考えるブランディング.そして日立製作所は発酵する鉄道デザイン.
それぞれ自由でユニークで,ブランディングということへの取り組みが披露された.デザイナーズイブニングという催しの“肝”といえよう.いや,実はさらにこの直後に開催された情報交流会で交わされた会話こそが,“神髄”かもしれない.
いつもながら,モデレーターとしての南井健治さんの構成力に加え,総合司会の久野知美さんの手際よい手綱さばきによって一段と盛り上がったことは間違いない.
手前は第一部のパネルディスカッションメンバー,奥は南井健治さんと久野知美さん.
2年後が待ち遠しい.いや,鉄道技術展から独立した催しがあってもよいのではなかろうか.
さて最後に訪問のためのガイダンス.
この鉄道技術展.趣味人対象の催しではないが,来場資格に制限はない.入場料は2,000円で,ウェブで事前登録すれば無料となる……当日でも大丈夫だと,思う.
そしてご注意:会場内は撮影禁止です.掲載した写真は,全て報道用として許可されたうえで撮影したものです.
車輛保存は,単なる保存ではなくて,技術の伝承や能力の向上という実用上の役割も果たしていることを示す写真パネル.右下の工事中の車輛は?
現代の踏面ブレーキの主流を占めるユニット式ブレーキ装置のカットモデル.動作状態でのカットモデル製作には,並々ならぬ技術力が必要である.教材として活用されるのだろう.
次に訪問したのはクノールブレムゼ.前回は紹介できなかったが,今回は注目すべき製品がいくつもあった.
車輪取り付けタイプのベンチレーテッドブレーキディスク内部に複雑な換気制御フィンや冷却ピンを設けて空気の流れを最適化し,ブレーキディスクの発熱を抑えるとともに走行抵抗を減らすという工夫が施されている.
モジュール化されたブレーキ制御ユニットを,日本の車輛に適したローカライズを施し,箱も日本の鉄道車輛で使われている形態のものを用意するという.
もうひとつ.グループ内に迎えたスペインの空調機器メーカーMERAKをブランドとして,日本の車輛向け空調装置もアレンジできるとアピール.中東地域向け車輛にも採用されているので,日本の高温多湿でも大丈夫.能力は70,000kcal/hぐらいでも可能だという.カナダ向けユニットのキセが展示されていた.
次は日本製鉄グループ.
車輪とレールの間の軋み音はそれぞれの摩耗や,近隣への騒音問題など悩みの種で,さまざまな工夫が凝らされているが,日鉄レールウェイテクノスで取り扱っているのは,固体の摩擦調整材を車輪の踏面やフランジに塗布することで車輪の軽減しようという工夫.塗油装置と違い、飛散しないため空転の発生を抑えつつ、摩耗を抑制できる特徴がある.
日本製鉄のヤマバ歯車装置.歯車のスラスト(軸方向に掛かる力)発生を抑止することが可能で,その結果,これまでの円錐ベアリングを廃して円筒ベアリングの採用が可能となり,厳密な隙間調整が不要になるというメリットがある.営業車輛としてはJR東海のN700Sに初めて採用された.
NKKスイッチズでは,仮称“半自動ドアスイッチ 音声案内システム”の開発展示が行なわれていた.八幡電気産業との共同開発で,視覚障碍者対応である.保線用機械の大メーカーであるスペノは,カフェラウンジを設けるなど,欧州での見本市の雰囲気を再現したような雰囲気のブースだった.
シュタッドラー,セシュロン,マティサなどがまとまって出展していたスイスパビリオン.
JR西日本もグループ各社で纏まって出展.その中で目を惹いたのが,JR西日本新幹線テクノス.福岡県那珂川市と春日市でふるさと納税のお礼品に採用されたという新幹線500系を中心とするグッズ類.JR西日本の“トレインボックス”での販売も期待される.
工進精工所には,前回に続いてエアベローズによる上昇と自重による下降というシステムを採ったパンタグラフが展示されていた.今回は,前回と同じ開発品のほか,ブルーに塗られた,大ストロークのパンタグラフが加わっていた.外国鉄道向けだという.
前回の展示品は,同社のウェブで,形式はKP9993,ストローク1,620mm,直流1,500V用,重量130㎏と発表されている.今回新たに展示されている“大ストローク”は既存品の1.5倍とある.
東洋電機製造では円弧歯筋歯車による駆動装置を開発展示.スラストを抑制して円筒ローラーベアリングの採用を可能とし,メンテナンスの手間が軽減できるという.
地方鉄道応援プロジェクト.30の鉄道事業者と日本民営鉄道協会,第三セクター等協議会が出展して展示やグッズ販売などを行なっていた.
そして,デザイナーズイブニング.これがあるから,訪問を今日にしたようなものである.
今回は,まず第1部として“鉄道とブランディング”がテーマ.新京成電鉄と南海電鉄と,そして第2ルートでの東京都心乗り入れを果たした相模鉄道の3社から,それぞれの戦略が発表された.
第2部は,鉄道車輛デザイン研究会プレゼンテーション.アルナ車両はリトルダンサーについて.川崎車両は科学的アプローチを用いた製品・ブランドづくり.近畿車輌は“Make Brand by Design”.総合車両製作所はサスティナのブランディングストーリー.東芝インフラシステムズは台湾鉄路のE500 形を題材にした,鉄道ブランディングに寄り添う機能美.新潟トランシスは,国鉄というブランドと新潟トランシス.日本車両は日本車両が考えるブランディング.そして日立製作所は発酵する鉄道デザイン.
それぞれ自由でユニークで,ブランディングということへの取り組みが披露された.デザイナーズイブニングという催しの“肝”といえよう.いや,実はさらにこの直後に開催された情報交流会で交わされた会話こそが,“神髄”かもしれない.
いつもながら,モデレーターとしての南井健治さんの構成力に加え,総合司会の久野知美さんの手際よい手綱さばきによって一段と盛り上がったことは間違いない.
手前は第一部のパネルディスカッションメンバー,奥は南井健治さんと久野知美さん.
2年後が待ち遠しい.いや,鉄道技術展から独立した催しがあってもよいのではなかろうか.
さて最後に訪問のためのガイダンス.
この鉄道技術展.趣味人対象の催しではないが,来場資格に制限はない.入場料は2,000円で,ウェブで事前登録すれば無料となる……当日でも大丈夫だと,思う.
そしてご注意:会場内は撮影禁止です.掲載した写真は,全て報道用として許可されたうえで撮影したものです.
※2023.11.13:日鉄テールウェイテクノスの摩擦調整材についての説明修正.
※2023.11.14:NKKスイッチズの開発品説明修正.