昨日2月14日,上毛電気鉄道(上毛電鉄)で新形式電車800形のお披露目が行なわれた.
 本誌をご愛読くださっている皆さんなら,1月号の“いちぶんのいち情報室”で完成予想イメージ図をご覧になったことだろう.
 西桐生方先頭車がデハ810形,中央前橋方がクハ820形という1M1Tの2輛編成.元は東京地下鉄の03系だから,北陸鉄道浅野川線03系や長野電鉄3000系,熊本電鉄03形と同手法での改造で誕生した電車といえる.長野電鉄3000系は3輛編成だから,他とはちょっと趣が異なっているけれど.
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10時22分,大胡から中央前橋駅に到着した800形電車.手前がクハ821,向こうがデハ811である.いつもは水を満々とたたえている広瀬川は水が抜かれて川底が露出していた.

到着した800形の外観は,2基のシングルアームパンタグラフや,全てが真新しい床下機器類など,興味の対象となる箇所は多い.台車は03系由来のSS135とSS035のようである.

到着後,橋本 隆社長からご挨拶.その中で,営業運転開始は2月29日からの予定であること,当面は中央前橋と大胡の間で運転されることが発表された.通常は西桐生と中央前橋の間は直通列車ばかりなので,恐らくは800形充当列車は大胡で車輛交換を行なうのだろう.
 続いて車内の見学及び撮影会.
 客室は,03系時代と同じようにも見えるが,実際には照明装置はLEDであり,多目的スペース(フリースペース,車椅子スペース)にはヒーターや非常通報装置が取り付けられている.
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連結面側から見たデハ811の客室.両端の側扉には乗車整理券発行器が設けられ,運転室と客室との仕切には運賃箱と運賃表が備えられている.妻面櫛桁部には整備を担当したメトロ車両の銘板も付けられている.
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ヒーターや非常通報装置などを備えた多目的スペース.半自動ドアスイッチは車輛両端部の側扉にのみ装備している.

などと観察しているうちに試乗列車の発車時刻が迫ってきた.
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運転室には両手操作式T形ハンドルが備えられている.右側画面外には車内確認用ミラーが取り付けられている.

大胡には11時48分に到着,車庫建屋内で降車し,庫外へ移動した800形を追って行くと……
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700形716編成と顔を並べていた.この716編成は,中間車からの改造なので正面腰部は鋼板製であり,正面窓下の通風口がない.この800形導入と入れ替わりに引退予定であるとのこと.両車の奥には元東急電鉄デキ3021が顔をのぞかせている.

元東急電鉄デキ3021が上毛電鉄にやってきたのは平成21/2009年のこと.その折の様子は本誌の2010年1月号“保存車輛めぐり”でご紹介している(残念ながら売り切れ).
 このブログでは2010年1月7日のここ14日のここでご紹介している.
 もはや15年の歳月が流れたことになるわけだが,上毛電鉄の風情は変わらず,機関車もきっちりと保守されていて,安心したところである.
 でも,時代は動く.それが800形である.上毛電鉄の顔としてほぼ四半世紀にわたってこの地を走り続けてきた700形電車も,引き続いて活躍を続けるとはいうものの,“主役”が800形に交代するのは,間違いないところである.
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およそ四半世紀続いた,“全部700形”という状態はもうすぐ終わる.これからは左右どちらからが800形という時代がやってくる.左は“はしる水族館”714編成.右は先頭車化改造の717編成.724編成の窓下には通風口がある.空調装置も違っている.このあたりのバリエーションも,今のうちに記録しておかねば.中央前橋