いきなりなんの話題かと思った,そこの貴方.先週のここでお目に掛けた写真の,最初の1枚を見直していただきたい.E131系1000番代を撮影するために訪れた,JR東日本武蔵白石駅に停車中の205系1100番代の後ろに見える架線柱付近,なんだか不思議ではないだろうか.
8BB_1042
これが,その架線柱付近の全容である.4本柱の架線柱とは……正しくは架線柱ではないが……,変電所からの送電線を取り込む場所なら,それほど不思議ではない.この柱も,画面左側の変電設備からの送電線が繋がっている.

ただ問題(?)は,さらにその頭上を,線路と並行して電線が走っていること.
8BA_0918
振り返った風景が,これである.頭上の電線は安善を経由して浅野まで達したのちに,線路から離れる.

実は浅野駅のすぐ横に,東京電力の末広町変電所がある.今年はじめの訪問時には,なにやら大掛かりな工事の真最中であった.
 もちろんこの界隈には,線路と無関係な高圧送電線の鉄柱も数え切れないほど建っている.それらの相関関係は,さっぱりわからない.解らないけれど,これらの送電線によって京浜工業地帯の活動が支えられているのは,間違いのないこと.
L8A_7981
今度は浅野駅から安善,武蔵白石方を望んだ光景.同じ場所から鶴見方を振り返ると,頭上の電線は,きれいさっぱり,消え失せている.

さてこの,“頭上の電線”.実は昨年秋に取材した,いわゆる浜川崎支線にも高圧送電線兼用の架線柱が存在していた.ただ,そちらは送電ルートが更新されたらしく,今では鉄柱だけが残って電線は張られていないという例が多かった.
8AA_3235
小田栄の駅から尻手方を見る.線路の上には,いかにも高圧送電線のためと思われる鉄柱が組まれているが,電線は,ほとんどない.その代わり,線路から少し離れたところに,真新しい,より大掛かりな鉄柱が立って,そちらには,多くの送電線が巡らされていた.ちなみに走り去る貨物列車は川崎市の“クリーンかわさき”号.

このような光景……あ,コンテナ列車ではなくて線路上の高圧送電線……ほかでもたくさん眺めてきた記憶がある.川崎界隈では京急大師線にあった.ここには味の素の工場への貨車出入りのため三線区間もあった.でも,今では三線区間は跡形もなく,送電線は,思わせぶりな妙に太い架線柱に面影を偲ばせるだけになった.


あとは……例えばこんな風景は.
I8A_9964
一大通勤路線の東急電鉄田園都市線である.区間はたまプラーザとあざみ野の間.2020系の頭上を,6本の高圧送電線が走っている.2022-9-25

こんな風景も撮っていた.
H8B_0305
上のほうへ行くに従って幅が拡がり,しかもさらに柱が1本建てられている.これこそが“架線柱に併設の送電線”.2021-10-21

でもこれは怪しいかもしれない.高圧送電線にしては碍子が小振りである.電線も太くない.もしかしたら鉄道会社の業務用送電線かもしれない.しかも,立派な鉄柱はこの1本だけで,あとはコンクリート柱.でも,妙に背が高い.さて正体は?
 さてどこだろう……なんて隠す趣味はない.南海電鉄の羽倉崎と吉見ノ里の間である.

似たような架線柱は,阪急京都線……新京阪線とか阪急神戸線でも見ることができる.

それにしても,こういう風景,生粋の国鉄電化線では,あまり見た記憶がない.なぜ私鉄だけに?それとも僕が知らないだけで,国鉄にもある?設置に際しての技術的な基準は?……
 これからの,僕の新たな研究課題となるのだろうか.

※2024.03.16追記:今回ご紹介した鉄柱,正しくは架線柱に併設でない,“線路上に建設された送電塔”も含んでいますが,概念的な表現として用いています.一部は本文を修正しました.ご了解くださいますよう.