敦賀駅の新幹線ホームに上がってから4週間が経った. “実時間”でいえば,既に3ヵ月以上も前のこととなった.

僕が予約したのは“つるぎ30号”.敦賀を16時39分に出発して富山着が18時2分.そこからはくたか574号に乗り継いで大宮着は20時50分……ではなくて,金沢で敦賀からやってきて17時57分に発車する“かがやき514号”に乗り換えて20時ちょうどに大宮へ到着しようという算段.“かがやき”なら敦賀始発なのだから乗り通せばよいようなものだけれど,それではせっかくの新開業区間が福井以外は通過となってしまうのが,つまらないと思ったのである.
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16時25分,12番線に入線するJR西日本のW7系W10編成.前回,“折しも12番線に列車が到着した……”と記した編成が,実はこの,北陸新幹線が最初に開業した2015年の近畿車輌製W10編成だった.これが僕の乗る“つるぎ30号”になるわけである.
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16時30分,客室整備やケータリングのスタッフが待ち構える中,敦賀駅11番線に到着する,金沢からの“つるぎ31号”W7系W18編成.2022年の川崎車両製のようである.
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ホーム上で見掛けた“W7系”ではなくて,車内整備用品を収納するカートのようである.W7系塗装が可愛らしい.ちょっとすてきな,ホーム上のアクセサリーといえよう.

列車は定刻通り発車し,あっという間に最初の停車駅である“越前たけふ”に到着.今回の開業区間で唯一の,在来線とは独立した新駅である.
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駅前はまだまだ発展途上.それでも少し離れたところにはビジネスホテルが営業していた.

次は福井.17時00分着である.
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足羽川を渡る.すぐそばの橋が泉橋.その奥が去年の冬と秋に“フクラムライナー”F2000形を追った,福井鉄道の渡る幸橋である.在来線……ではなくハピラインふくいだ……は新幹線の線路に並行しているのだが,低い位置を走るので,まったく見えない.

駅を発車したら,まもなく道路併用橋である九頭竜川を渡る……のだけれど,防音壁に阻まれて写真は撮り損ねてしまった.
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芦原温泉駅.この駅のずっと西にえちぜん鉄道の駅があり,そして温泉街が展開している,はずである.

何ということなく県境を越して石川県へ.小松を過ぎたところで,ようやく海が近いような風情となった.と,思ったら山側を白山総合車両所が通り過ぎた.
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ほどなく目に入ったのが,松任工場の“跡”.北陸新幹線開業で役目を終えて閉じられてしまった.大きな建屋や線路の多くが残っているが,このもうすぐ面影をなくすのだろう.そういえば,除雪車は解体されたと聞いたが,B6はどうなっただろうか.
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17時37分,定刻に金沢着.記録写真と思ったが,LEDの文字が全く読めない.たかだか1/400秒のシャッターなのに.

“かがやき514号”が発車する17時57分までの20分の間に,夕食用の呑みものを仕入れなければ.大忙し.
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到着した“かがやき514号”.連休でもない単なる日曜日なのに,ホームは超満員.左手のホームに停車しているのは,富山からの“つるぎ39号”,W16編成.肝心の,僕が乗った編成の記録を撮り損ねているのだが,写真からの判読でW20編成ではないかと思う.
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主食は敦賀駅で仕入れた塩荘の鯛鮓.
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そして呑みものは,金沢駅の売店で購入した,加賀のお酒“加賀雪梅”.醸造場は野々市に,本社は金沢市内.

帰宅後に調べてみたら,醸造元の中村酒造は,文政年間から続く蔵だそうである.開栓前から心地よい疲れに実を包まれた僕には,鯛鮓の酸味と,デザート酒にもなりそうな“まぁるい”舌触りが,体の中で絶妙に混じり合い,翌日から本格化する8月号MODELERS FILE“西武鉄道6000系”のまとめ作業に向けての英気を養うことができた,至福の夕食となった.

※2024.10.12:一部時刻修正