昨年11月末から,東京世田谷区の砧公園内にある世田谷美術館で,“東急 暮らしと街の文化”展が開催されている.
東急大特集である,とれいん誌の新年号編集真っ盛りに届いた案内に,偶然のなせる業を,大いに感じざるを得なかった.ましてや,まもなく発売となるレイルNo.133も,東急文化を象徴するような自由が丘とその周辺に的を絞った特集の,これもまた編集作業たけなわだったのだから…….
で,1月5日,元日の自由が丘に続いて世田谷美術館にお邪魔してきた.
東急大特集である,とれいん誌の新年号編集真っ盛りに届いた案内に,偶然のなせる業を,大いに感じざるを得なかった.ましてや,まもなく発売となるレイルNo.133も,東急文化を象徴するような自由が丘とその周辺に的を絞った特集の,これもまた編集作業たけなわだったのだから…….
で,1月5日,元日の自由が丘に続いて世田谷美術館にお邪魔してきた.
入り口.広大な砧公園の一角に設けられた美術館は,主張しすぎず,でも個性的なデザインの建物で,公園を散策するだけの人々にも,強力な吸引力を発揮している.オープンは昭和61/1986年.
ちなみに公園は昭和32/1957年に開園している.もとは紀元2600年記念事業として整備されたものだという.戦時中は防空緑地,戦後は都営のゴルフ場であったらしい.
ちなみに公園は昭和32/1957年に開園している.もとは紀元2600年記念事業として整備されたものだという.戦時中は防空緑地,戦後は都営のゴルフ場であったらしい.
企画展会場で出迎えてくれるのは玉電のレール.東横百貨店西館の解体工事の際に発見されたものだそうである.玉電の渋谷駅に敷かれていたもの.銘は読めない.
続いては台車3種.KS-33とTS-301 とTS-701である.使われていたのはデハ3700形,初代デハ5000形,初代7000形……とは,申し上げるまでもないことだろう.
さて本論.
さて本論.
巨大な看板?表札?の奥にちらりと見えるのは,東急電車の昔の駅を再現したレイアウトセクションと電車そのものの模型,そしてバスの模型の一群である.これらはいずれも,電車とバスの博物館の収蔵品.周囲で放映されているのは,東急電車各線の前面展望など.
そして次の部屋には……
そして次の部屋には……
車体組立図に“各型車輌用た車輪車軸及電動機型式一覧表”に座付連結器図にB型(改造)パンタグラフ分解図(其ノ1)に…….なんとマニアックな.モデラーには垂涎の資料が惜しげもなく展示されている.
ここまでが第1章.常識的な範囲ならば撮影してもかまわないエリアだった.続く第2章以降は撮影禁止の札が掲示されている.
テーマは“街の時を拓く―東急の街づくり―”.
東横沿線では田園調布の住宅開発が全国的に有名だが,実はそれだけでなく,東京の各地で組織的な住宅開発が行なわれた.
それらの中でも最大規模の土地整理事業が自由が丘や緑が丘周辺なのだという.その資料のオリジナルが展示されている……“玉川全円耕地整理”といい,現在の東玉川,玉川田園調布,奥沢,尾山台,等々力,中町,野毛,上野毛,玉川台,用が,上用賀,玉川,瀬田……面積は世田谷区の1/4を占める.
実はレイルNo.133では,深尾 丘さんが,その成り立ちや推移などを詳しく語ってくださっているのだ.もう随分前からが温めておられたテーマで,ある程度見極めがついたのが昨年のこと,なんとかとれいん誌の東急特集と時を揃えて仕上げてくださったのだった.それがなんと,美術館での企画展とも,時期が一致するとは…….
ここまでが第1章.常識的な範囲ならば撮影してもかまわないエリアだった.続く第2章以降は撮影禁止の札が掲示されている.
テーマは“街の時を拓く―東急の街づくり―”.
東横沿線では田園調布の住宅開発が全国的に有名だが,実はそれだけでなく,東京の各地で組織的な住宅開発が行なわれた.
それらの中でも最大規模の土地整理事業が自由が丘や緑が丘周辺なのだという.その資料のオリジナルが展示されている……“玉川全円耕地整理”といい,現在の東玉川,玉川田園調布,奥沢,尾山台,等々力,中町,野毛,上野毛,玉川台,用が,上用賀,玉川,瀬田……面積は世田谷区の1/4を占める.
実はレイルNo.133では,深尾 丘さんが,その成り立ちや推移などを詳しく語ってくださっているのだ.もう随分前からが温めておられたテーマで,ある程度見極めがついたのが昨年のこと,なんとかとれいん誌の東急特集と時を揃えて仕上げてくださったのだった.それがなんと,美術館での企画展とも,時期が一致するとは…….
これがその“玉川全円耕地整理図”.取材ということで特にお許しをいただいて撮影したもの.撮影者の腕の影が図面にかかっているのはご愛敬…….
こちらは田園調布関連の史資料.“田園都市歓迎趣意書”や田園調布案内など.画面左端にちらっと映り込んでいるのは,田園都市会社の社紋が鋳出されたマンホールのふた.
昭和30年代からの田園都市線線路延長と軌を一にした住宅地開発の原点が,この周辺の事業にあることは間違いないことを,余所者の素人にも明確に分からせてくれる展示であった.
企画展はこのあと,沿線在住の芸術家による絵画や彫刻などの展示が続く.田園調布や等々力,奥沢あたりに建築された住宅群も作品の一つとして扱われているのが興味深い.
僕には師岡宏次や桑原甲子雄が撮影した昭和10年代の渋谷駅前風景などに,ひときわ惹かれた.
昭和30年代からの田園都市線線路延長と軌を一にした住宅地開発の原点が,この周辺の事業にあることは間違いないことを,余所者の素人にも明確に分からせてくれる展示であった.
企画展はこのあと,沿線在住の芸術家による絵画や彫刻などの展示が続く.田園調布や等々力,奥沢あたりに建築された住宅群も作品の一つとして扱われているのが興味深い.
僕には師岡宏次や桑原甲子雄が撮影した昭和10年代の渋谷駅前風景などに,ひときわ惹かれた.
デザインされた個人住宅の写真と現代美術作品が同列に並ぶ展示.正面奥の小さな4枚の写真は弦巻にあった岡本太郎のアトリエ.撮影は土門 拳.
ここまでが第3章で,最終章は“文化を拓き、育てる”.
武蔵工業大学(現在の東京都市大学),五島プラネタリウム,多摩川園と能楽堂,五島美術館,東横ホール,Bunkamura,多摩川スピードウェイ,田園コロシアム…….
すべてをじっくりと展覧し,そしてブログで紹介すると,気の遠くなるほどの時間とスペースが必要になる.
興味と関心のある方は,ぜひとも砧公園へ! ちょっと足をのばして玉電砧線跡探索をセットにするのも一興かもしれない.
会期は2月2日まで.まだまだ時間はある!
ここまでが第3章で,最終章は“文化を拓き、育てる”.
武蔵工業大学(現在の東京都市大学),五島プラネタリウム,多摩川園と能楽堂,五島美術館,東横ホール,Bunkamura,多摩川スピードウェイ,田園コロシアム…….
すべてをじっくりと展覧し,そしてブログで紹介すると,気の遠くなるほどの時間とスペースが必要になる.
興味と関心のある方は,ぜひとも砧公園へ! ちょっと足をのばして玉電砧線跡探索をセットにするのも一興かもしれない.
会期は2月2日まで.まだまだ時間はある!
出口では“ありがとうデヤ7200”のヘッドマークと“のるるん”がお見送り.
そして最後の最後にはミュージアムショップが待ち受けている.2023年に限定刊行された東急100年史が,ここでなら,まだ購入可能である.クレジットカードも,使うことができる.
そうだ! 240頁に及ぶ立派な図録も用意されている.頒価は税込みで2,860円.
さらに,そうだ! 今度の土曜日日曜日,1月11日には14時から15時30分まで,レクチャー(2)“東急の車両設計に携わって”が開催される.講師は,僕たちにはおなじみの東急電車オーソリティ,荻原俊夫さん.当日先着順に受け付け.
※本文中にも記した通り,展示室の大部分は撮影禁止です.サインに充分注意してください.ここに掲載した写真は,取材用として事前に許可をいただいて撮影したものです.
そうだ! 240頁に及ぶ立派な図録も用意されている.頒価は税込みで2,860円.
さらに,そうだ! 今度の土曜日
※本文中にも記した通り,展示室の大部分は撮影禁止です.サインに充分注意してください.ここに掲載した写真は,取材用として事前に許可をいただいて撮影したものです.
※2025.01.10:荻原さんのレクチャー開催日,曜日を修正