上田交通取材から福島交通訪問までの間には丸々ふた月近くの間が必要だった.こちらのさまざまな事情とともに,1000系譲渡車の中で唯一の3輛編成が動いていないという情報があったからでもある.
そしてようやく実現したのが,東北にそろそろ雪の便りが聞こえてきそうな,11月17日のことだった.
お目当ての3輛編成は朝だけ,しかも平日のみの運用とのことだから,日曜日のこの日は“夜明け前から待ち構えて……”という苦労はなかった.けれど,実にこの路線を訪問するのは,生まれて初めて! 遠い昔には福島機関区でEF71やED78を撮影させてもらった帰りに,福島駅でスナップした記憶はあるが,それだけのこと.今にして思えば,当時の車庫は福島駅の隣の曾根田に隣接していたのだから,ちょっと足をのばせばよかったのにということなのだが.もちろん東急7000系が導入される,はるか以前のことである.
課題は,真横と屋根上をどこで撮影するか…….便利な世の中になったもので,ある程度はインターネット上の空中写真サイトで調べることができる.
その結果,真横はなんとかなりそうだ……西側はちょっと工夫が必要だが…….屋根上も,岩代清水と泉の間の国道立体交叉から撮れるかも……脚立は要るのだろうなぁ.ということになった.
でも,最終的には現地へ赴いてみなければわからないから,朝の10時には一通りの下見を終えて,桜水の駅前に立っていた僕である……まぁ,結論としては,なんとかなりそう…….
列車写真のポイント探しも,なかなかむつかしかった.一番安定して撮れるのが,最初期の終点だった花水坂と医王寺前の間の小川橋梁.線路の西側には県道が並行しているから,順光狙いならば午前限定となる.
その小川橋梁で撮影した1107+1208.僕にとっての福島交通は,やっぱりこの色である.行先表示はスローシャッターでないと文字が欠けることは,一畑電車で確認してはいたが,やっぱり1/125秒では少し欠けてしまった.
屋根上は,目論み通り国道13号線陸橋からの撮影とした.この国道とは2回交叉するが,こちらは岩代清水と泉の間の,福島西道路と呼ばれるバイパスの方である.
その国道から見たお宮さん……泉八幡神社と火の見櫓と…….遠くに連なる山々の向こうは山形県と宮城県.
泉八幡神社については,ちらっと調べた範囲では応神天皇が祭神であるらしいとしか,わからなかった.社殿はいかにも地元の氏神らしい規模と趣であった.よく見ると,壁面に鉄棒のカスガイが加えられていることで,14年前の大震災を思い出させてくれる.
晩秋の東北は日暮れが早い.16時過ぎにはもうゲームセット!
ということで宿に荷物を入れて福島駅へ見物に向かった
特急列車が次から次へと現れて,奥羽本線にはEF71やED78の重連が……というのは今は昔の福島駅だが,長い長いホームに,往時を偲ぶことはできる.
719系と701系と721系.それぞれ庭坂,仙台,新白河という行き先を示して勢揃い.夕方の退勤時間帯ならでは……日曜日だから,お客さんの数はそれほど多くなかったけれども.
駅前広場から見た西口駅舎.往年の福島機関区があった場所である.
東口駅前.そういえば新幹線開業前は,どんな駅舎だっただろうか.福島交通軌道線は,どの辺から出ていたのか…….画面中央下部に“電車のりば”の案内板が見える.
近寄ってみたら,福島交通の駅への通路だった.阿武隈急行への通路も兼ねている.表示の文字のかすれ方が,新幹線開業からの歳月を物語っている.そういえば,2024年は飯坂線開業100周年の記念すべき年だった.
福島交通桜水駅前のスーパーで見つけた“地牛乳”,酪王.正確にはカフェオレだが.福島市の隣,本宮市の産であった.
翌朝は思いっきり早起きして……とはいえ,早すぎてまだ薄暗く,実働は7時ごろからとなったが.
昨日も撮った小川橋梁で貴重な3輛編成列車を狙ったら,なんと!この瞬間だけ,曇ってしまったではないか.
この編成が入庫し,整備を終えた午後一番に車庫を訪問.ギリギリ精一杯のご協力をいただいて編成写真や車内を撮った成果は,新年号でご覧いただいた通り.
存分に撮らせていただいて家路に向かう途中,曾根田の駅に7000系が保存されていることを思い出して寄り道.
きれいに整備されたおしゃれな駅本屋.左手の一角では珈琲店が営業している.
久し振りに見た,オリジナルのバッドライセンス車.パイオニアIII台車を間近に見るのも,何年振りだろうか.待合室のように改装された車内で,すっかり寛いでしまった.
そういえば,昨日の夜に頂いたお酒がおいしかったけれど,ここで売ってるだろうかと思って入った曾根田駅そばのスーパーマーケット.見上げたら立体駐車場があって……
こんな風景が展開していた.建設中の高架橋は山形新幹線の増設線路.手前を行くのは阿武隈急行の新形車AB900系.もちろんさらに手前の線路を福島交通の電車も通り過ぎてゆく.
で,ありました.金水晶.福島市松川町の蔵元が醸すお酒であった.松川といえば川俣線,そして北芝電機からの特大貨物…….そう思いながら味わうと,ひときわ旨味が増すような.実際には大地震で酒蔵が全壊し,今では松川から西の地域で醸造しているようだが,“地元産”を守り続ける姿勢は変わらないという.
そしてようやく実現したのが,東北にそろそろ雪の便りが聞こえてきそうな,11月17日のことだった.
お目当ての3輛編成は朝だけ,しかも平日のみの運用とのことだから,日曜日のこの日は“夜明け前から待ち構えて……”という苦労はなかった.けれど,実にこの路線を訪問するのは,生まれて初めて! 遠い昔には福島機関区でEF71やED78を撮影させてもらった帰りに,福島駅でスナップした記憶はあるが,それだけのこと.今にして思えば,当時の車庫は福島駅の隣の曾根田に隣接していたのだから,ちょっと足をのばせばよかったのにということなのだが.もちろん東急7000系が導入される,はるか以前のことである.
課題は,真横と屋根上をどこで撮影するか…….便利な世の中になったもので,ある程度はインターネット上の空中写真サイトで調べることができる.
その結果,真横はなんとかなりそうだ……西側はちょっと工夫が必要だが…….屋根上も,岩代清水と泉の間の国道立体交叉から撮れるかも……脚立は要るのだろうなぁ.ということになった.
でも,最終的には現地へ赴いてみなければわからないから,朝の10時には一通りの下見を終えて,桜水の駅前に立っていた僕である……まぁ,結論としては,なんとかなりそう…….
列車写真のポイント探しも,なかなかむつかしかった.一番安定して撮れるのが,最初期の終点だった花水坂と医王寺前の間の小川橋梁.線路の西側には県道が並行しているから,順光狙いならば午前限定となる.
その小川橋梁で撮影した1107+1208.僕にとっての福島交通は,やっぱりこの色である.行先表示はスローシャッターでないと文字が欠けることは,一畑電車で確認してはいたが,やっぱり1/125秒では少し欠けてしまった.
屋根上は,目論み通り国道13号線陸橋からの撮影とした.この国道とは2回交叉するが,こちらは岩代清水と泉の間の,福島西道路と呼ばれるバイパスの方である.
その国道から見たお宮さん……泉八幡神社と火の見櫓と…….遠くに連なる山々の向こうは山形県と宮城県.
泉八幡神社については,ちらっと調べた範囲では応神天皇が祭神であるらしいとしか,わからなかった.社殿はいかにも地元の氏神らしい規模と趣であった.よく見ると,壁面に鉄棒のカスガイが加えられていることで,14年前の大震災を思い出させてくれる.
晩秋の東北は日暮れが早い.16時過ぎにはもうゲームセット!
ということで宿に荷物を入れて福島駅へ見物に向かった
特急列車が次から次へと現れて,奥羽本線にはEF71やED78の重連が……というのは今は昔の福島駅だが,長い長いホームに,往時を偲ぶことはできる.
719系と701系と721系.それぞれ庭坂,仙台,新白河という行き先を示して勢揃い.夕方の退勤時間帯ならでは……日曜日だから,お客さんの数はそれほど多くなかったけれども.
駅前広場から見た西口駅舎.往年の福島機関区があった場所である.
東口駅前.そういえば新幹線開業前は,どんな駅舎だっただろうか.福島交通軌道線は,どの辺から出ていたのか…….画面中央下部に“電車のりば”の案内板が見える.
近寄ってみたら,福島交通の駅への通路だった.阿武隈急行への通路も兼ねている.表示の文字のかすれ方が,新幹線開業からの歳月を物語っている.そういえば,2024年は飯坂線開業100周年の記念すべき年だった.
福島交通桜水駅前のスーパーで見つけた“地牛乳”,酪王.正確にはカフェオレだが.福島市の隣,本宮市の産であった.
翌朝は思いっきり早起きして……とはいえ,早すぎてまだ薄暗く,実働は7時ごろからとなったが.
昨日も撮った小川橋梁で貴重な3輛編成列車を狙ったら,なんと!この瞬間だけ,曇ってしまったではないか.
この編成が入庫し,整備を終えた午後一番に車庫を訪問.ギリギリ精一杯のご協力をいただいて編成写真や車内を撮った成果は,新年号でご覧いただいた通り.
存分に撮らせていただいて家路に向かう途中,曾根田の駅に7000系が保存されていることを思い出して寄り道.
きれいに整備されたおしゃれな駅本屋.左手の一角では珈琲店が営業している.
久し振りに見た,オリジナルのバッドライセンス車.パイオニアIII台車を間近に見るのも,何年振りだろうか.待合室のように改装された車内で,すっかり寛いでしまった.
そういえば,昨日の夜に頂いたお酒がおいしかったけれど,ここで売ってるだろうかと思って入った曾根田駅そばのスーパーマーケット.見上げたら立体駐車場があって……
こんな風景が展開していた.建設中の高架橋は山形新幹線の増設線路.手前を行くのは阿武隈急行の新形車AB900系.もちろんさらに手前の線路を福島交通の電車も通り過ぎてゆく.
で,ありました.金水晶.福島市松川町の蔵元が醸すお酒であった.松川といえば川俣線,そして北芝電機からの特大貨物…….そう思いながら味わうと,ひときわ旨味が増すような.実際には大地震で酒蔵が全壊し,今では松川から西の地域で醸造しているようだが,“地元産”を守り続ける姿勢は変わらないという.