銚子電鉄を訪問した翌日の3月2日,日曜日のお昼過ぎに,鉄道友の会の島秀雄記念優秀著作賞贈呈式が開催された.
 場所は東京江東区豊洲の芝浦工業大学豊洲キャンパス内の有元史郎記念校友会館交流プラザ.

集合時刻に遅れてはならないということで早めに家を出たわけだけれど,それにしても,現地に着いても,どうにもひと気がない.機関車は,春の陽を浴びつつ,いつも通りにたたずんでいたが.
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お披露目から2年以上が経過したわけだが,海のそばにもかかわらず,実にきれいな状態が保たれている.

保存車輛は,保存したらそれでよし,ではないことを実感させられる.美しい情景である.

それにしても変だ.で,念のため案内状を確かめてみたら,住所が全く違うではないか.ここは“豊洲6-2-7”.それに対して案内状に記されているのは“豊洲3丁目7-5”.うむ.大慌てで地図を確認したら,地下鉄豊洲駅を挟んで直線距離で約1キロ.実際には2キロぐらいありそう……大慌てで移動を開始したのは,いうまでもないこと.こういうこともあるから[早め出場]は必須なのである.
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なんとか遅刻せずに到着.ほどなく式典は始まった.司会は高嶋修一さん.

出席者紹介に続いて副会長である松田清宏さんから開会のあいさつ.

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佐伯会長のご都合悪しく,外遊から帰朝直後とのことだが,お疲れのようは感じられなかった.
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そして小野田滋選考委員長から選考経過報告.

芝浦工業大学附属中学高等学校「鉄道院403号(西武鉄道4号)機関車の保存」
『レイル』125号、エリエイ)
および同機関車の保存活動

1922年に設立された東京鉄道中学がルーツである芝浦工業大学附属中学高等学校は,開校100周年記念事業のひとつとして,英国ナスミス・ウィルソン社製の鉄道院400形蒸気機関車403号機の保存展示を2022年に開始しました.この機関車は晩年に西武鉄道4号機となり,上武鉄道への貸出期間を経てユネスコ村で静態展示された後,西武鉄道横瀬車両基地にて保管されていたもので,復元整備され同校に寄贈されたものです.『レイル』誌に掲載された記事は,1886年に製造された同機の歴史を詳しく解説するとともに,復元工事中に撮影された各部の詳細な写真を掲載しており,その高い資料性は今後の鉄道車両保存活動にも益するところが大きいといえ,機関車の保存活動とともに特別賞に相応しいものとして選定しました.

なお今年度の受賞作は,単行本部門が,
藤田吾郎著『70系戦災復旧客車 ―その形態バリエーションー』(上・中・下)
ネコ・パブリッシング(2023)
及び
岡田健太郎著『大陸浪人路面電車―中国大陸を駆けた日本の電車のものがたり―』
日本鉄道研究団体連合会(2023)

定期刊行物部門は該当なし.これは過去16回の歴史の中で,初めてのことだそうである.

そして特別部門が

浅原信彦著
『ガイドブック 最盛期の国鉄車輌』1~16
(ネコ・パブリッシング)
及び
芝浦工業大学附属中学高等学校「鉄道院403号(西武鉄道4号)機関車の保存」および同機関車の保存活動

ということになる.僕が嬉しいのは,最初にも記した通り,“同機関車の保存活動”が授賞理由に含まれていること.
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テーブルに並べられた受賞作と盾
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記念写真.左から松田副会長,芝浦工業大学附属中学高等学校長である柴田邦夫さん,校長補佐で事務長の荻田忠伸さん.写真提供:鉄道友の会
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レイルに保存の経緯などを執筆してくださった藤田吾郎さんによる記念講演.403号機関車の旧番号に関する考察を解説中.

藤田さんは同校の100周年事業検討委員会のメンバーで,大学の工学部教授である.
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受賞者と出版関係者による記念写真.写真提供:鉄道友の会

そして会場を附属中学高等学校に移すことになるのだが,その途中で見つけたもの,それは……
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昭和12年式のダットサン16型.2022年に卒業生から寄贈を受けたもので,自走可能とのことである.


そして僕にとっては“舞い戻ってきた”403号機関車の保存場所へ移動


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しばしの間,めいめいに機関車を愛でたのち,本日の参加者全員での記念写真撮影となった.写真提供:鉄道友の会

翌日,江古田の事務所にて
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これまでに頂いた記念の盾を全部,応接スペースに並べてみた


これからもずっと,趣味人ならではの文献や写真などを,地道に積み重ねて記録し続けたいと思っている.変わりなくご支援賜りますよう,お願い申し上げます.