早いもので,もう9月も半ば.けれど一向に夏が終わらない東京である.
しかし暦は情け容赦なく進み,レイルは既にNo.136の仕上げ作業が大詰めに差し掛かっている.
さて今から2ヵ月前に刊行のレイルNo.135は,久し振りに多種多様な稿の乗り合わせとなった.
最初は,2月26日に逝去された白井 昭さん追悼の意味も込めた,西濃鉄道・大井川鉄道の2100形2109の記録.
西濃鉄道での現役時代の姿は,昭和13/1938年12月に西尾克三郎さんが訪問された時の作品を掲載した.
美濃赤坂駅構内.3輛の2100・2400形が見える.左から2109,2105,そして鉄道省の2464である.石灰石及び関連の貨物を扱うこの駅の様子は,旅客扱い関係の線路が電化されたものの,90年近い歳月を経た今も,大きな変化がない.昭和13/1938年12月8日 写真:西尾克三郎
今回,2109を記録しておこうと思い立ったもうひとつの要因が,内藤久雄さん提供による西濃鉄道での現役引退から大井川鉄道への移籍に至る数年間の記録写真.
とりわけ,定期貨物列車の後尾に繋がれて大垣駅を発車してゆくカット.当時中学生だった内藤さんによって,流し撮りが見事に決まっている.
大垣駅を発車して穂積,そして金谷を目指す2109.無火回送とはいえ,直径1,250㎜で平軸受けの動輪やラジアル式の従輪が,よく高速,なおかつ長距離の運転に耐えたものである.確立したノウハウが生きていたとか,さまざまな条件が現代とは異なるのだろうが.昭和45/1970年8月7日 写真:内藤久雄
そして平成5/1993年夏の大井川鉄道本線における回送のレポート.暑い一日を2109と過ごすことができた,至福の一日でもあったわけだが…….表紙もその途上に撮影したカットである.
さて2番目は台湾の虎尾に残る英国式100フィートポニーワーレントラス桁と,今も盛業中の.虎尾糖厰鉄道のフォトレポート.
トラス桁の紹介は,西 和之さんによるレイルNo.123(レイルNo.135ではNo.133となっているが,正しくはNo.123)での英国式ポニーワーレントラス桁の補遺である.しかし,家族旅行の途中で台北と虎尾を日帰り往復したとは……僕も1977年に虎尾を訪問しているのだけれど,その時代には台北から日帰りなんて,とても考えられなかった.新幹線,それも新駅開業の恩恵である.
現況グラフは,台湾の熱心な趣味人であり7月末にオープンした国家鉄道博物館の準備室主任の鄭銘彰さん.鄭さんとは今年3月に大宮の鉄道博物館で催された企画展,“交流協力企画展 和風×台昧台湾鉄路の食文化”の会場でお目に掛かったご縁からお願いしたら,快く提供してくださったものである.企画展の模様は3月20日付のここでご紹介しているから,ご記憶の方も多いだろう.

レイルではモノクロでの掲載になってしまったので,ここでカラーでご紹介.撮影ポイントはトラス桁を過ぎた地点だが,このあたりの鈑桁も,由緒ある……そして癖のあるメンバーが揃っているのだという.2025年1月 写真:西 和之
虎尾糖廠構内で入換作業に励む.現在の機関車はドイツのDIEMA製3動軸機.この佇まいはこの半世紀,ずっと変わっていない.この写真も,レイルではモノクロでの使用になってしまった作品である,2024年1月27日 写真:鄭銘彰
次は日本に戻って三河鉄道.現在の名古屋鉄道三河線である.その岡崎市内で,鉄道線の車輛が市内線に乗り入れ運転を実施していた事実を,地元の藤井 建さんがさまざまな資料から,ほぼ明確な記録としての稿を発表してくださった.
今でこそ郊外線の内燃動車が市内に乗り入れるという例はドイツなどに存在しますが,昭和初期に実践していたというのだ.丹念な資料の蒐集と分析の努力に頭が下がる.
明らかに岡崎市内を走るガソリンカー.これが1920年代の出来事だというのだから,驚き以外のなにものでもない.写真所蔵:藤井 建
そして締めくくりはヒギンズさん.
今回は東京近郊の大手私鉄である.東武鉄道と相模鉄道と東急電鉄,そして小田急電鉄は既にご紹介しているので,今回は京王帝都電鉄と京浜急行電鉄,京成電鉄,新京成電鉄,そして西武鉄道である.
西武鉄道が極端に少ないのが気になるところだが,カラー中心での撮影だったようで,上水線(現在の拝島線の一部)と多摩湖線に限られるけれど,そこに貴重な写真が含まれているところが,素晴らしい.西武の解説はレイルでは初めての北村拓さんに担当していただいた.そのほかは関田克孝さんが筆を振るってくださった.いずれも必読の内容である.
静岡電気鉄道から譲り受けたモ161が上水線を走る,貴重な風景である.西武鉄道が他社から電車を購入するのは,現代の小田急8000形や東急9000系が最初ではない,ということになる.小川-青梅橋 昭和33/1958年6月
ということで,最初にも記した通り,いまやNo.136の追い込み真っ盛りである.1977年の虎尾で働いていた蒸気機関車たちも登場する.その中には台湾製も含まれるのである…….
10月下旬をお楽しみに!
しかし暦は情け容赦なく進み,レイルは既にNo.136の仕上げ作業が大詰めに差し掛かっている.
さて今から2ヵ月前に刊行のレイルNo.135は,久し振りに多種多様な稿の乗り合わせとなった.
最初は,2月26日に逝去された白井 昭さん追悼の意味も込めた,西濃鉄道・大井川鉄道の2100形2109の記録.
西濃鉄道での現役時代の姿は,昭和13/1938年12月に西尾克三郎さんが訪問された時の作品を掲載した.
美濃赤坂駅構内.3輛の2100・2400形が見える.左から2109,2105,そして鉄道省の2464である.石灰石及び関連の貨物を扱うこの駅の様子は,旅客扱い関係の線路が電化されたものの,90年近い歳月を経た今も,大きな変化がない.昭和13/1938年12月8日 写真:西尾克三郎
今回,2109を記録しておこうと思い立ったもうひとつの要因が,内藤久雄さん提供による西濃鉄道での現役引退から大井川鉄道への移籍に至る数年間の記録写真.
とりわけ,定期貨物列車の後尾に繋がれて大垣駅を発車してゆくカット.当時中学生だった内藤さんによって,流し撮りが見事に決まっている.
大垣駅を発車して穂積,そして金谷を目指す2109.無火回送とはいえ,直径1,250㎜で平軸受けの動輪やラジアル式の従輪が,よく高速,なおかつ長距離の運転に耐えたものである.確立したノウハウが生きていたとか,さまざまな条件が現代とは異なるのだろうが.昭和45/1970年8月7日 写真:内藤久雄
そして平成5/1993年夏の大井川鉄道本線における回送のレポート.暑い一日を2109と過ごすことができた,至福の一日でもあったわけだが…….表紙もその途上に撮影したカットである.
さて2番目は台湾の虎尾に残る英国式100フィートポニーワーレントラス桁と,今も盛業中の.虎尾糖厰鉄道のフォトレポート.
トラス桁の紹介は,西 和之さんによるレイルNo.123(レイルNo.135ではNo.133となっているが,正しくはNo.123)での英国式ポニーワーレントラス桁の補遺である.しかし,家族旅行の途中で台北と虎尾を日帰り往復したとは……僕も1977年に虎尾を訪問しているのだけれど,その時代には台北から日帰りなんて,とても考えられなかった.新幹線,それも新駅開業の恩恵である.
現況グラフは,台湾の熱心な趣味人であり7月末にオープンした国家鉄道博物館の準備室主任の鄭銘彰さん.鄭さんとは今年3月に大宮の鉄道博物館で催された企画展,“交流協力企画展 和風×台昧台湾鉄路の食文化”の会場でお目に掛かったご縁からお願いしたら,快く提供してくださったものである.企画展の模様は3月20日付のここでご紹介しているから,ご記憶の方も多いだろう.

虎尾糖廠構内で入換作業に励む.現在の機関車はドイツのDIEMA製3動軸機.この佇まいはこの半世紀,ずっと変わっていない.この写真も,レイルではモノクロでの使用になってしまった作品である,2024年1月27日 写真:鄭銘彰
次は日本に戻って三河鉄道.現在の名古屋鉄道三河線である.その岡崎市内で,鉄道線の車輛が市内線に乗り入れ運転を実施していた事実を,地元の藤井 建さんがさまざまな資料から,ほぼ明確な記録としての稿を発表してくださった.
今でこそ郊外線の内燃動車が市内に乗り入れるという例はドイツなどに存在しますが,昭和初期に実践していたというのだ.丹念な資料の蒐集と分析の努力に頭が下がる.
明らかに岡崎市内を走るガソリンカー.これが1920年代の出来事だというのだから,驚き以外のなにものでもない.写真所蔵:藤井 建
そして締めくくりはヒギンズさん.
今回は東京近郊の大手私鉄である.東武鉄道と相模鉄道と東急電鉄,そして小田急電鉄は既にご紹介しているので,今回は京王帝都電鉄と京浜急行電鉄,京成電鉄,新京成電鉄,そして西武鉄道である.
西武鉄道が極端に少ないのが気になるところだが,カラー中心での撮影だったようで,上水線(現在の拝島線の一部)と多摩湖線に限られるけれど,そこに貴重な写真が含まれているところが,素晴らしい.西武の解説はレイルでは初めての北村拓さんに担当していただいた.そのほかは関田克孝さんが筆を振るってくださった.いずれも必読の内容である.
静岡電気鉄道から譲り受けたモ161が上水線を走る,貴重な風景である.西武鉄道が他社から電車を購入するのは,現代の小田急8000形や東急9000系が最初ではない,ということになる.小川-青梅橋 昭和33/1958年6月
ということで,最初にも記した通り,いまやNo.136の追い込み真っ盛りである.1977年の虎尾で働いていた蒸気機関車たちも登場する.その中には台湾製も含まれるのである…….
10月下旬をお楽しみに!




