関東地方にも大雪が降って厳しい寒さだった2月8日朝.僕は山手線の西から東へ,どうやって移動しようかと思案したのだけれど,できるだけ雪の影響を受けにくそうな,地上に出ない方法ということで選んだのが池袋から丸の内線で銀座へ出てそこから南千住というルートだった.

約束の時刻に間に合うかどうか心配ではあったけれど,いつもの早め手配が功を奏して,充分な余裕時分を確保して到着することができた.もっとも,西武線の練馬駅では前途の不安を押しやって,久しぶりの雪の西武線スナップに勤しんでしまったが…….

さて本題.JR貨物の隅田川機関区が設立されて何年になるだろうか.かつての田端機関区が移転して……ということになるのだけれど……調べてみたら13年前,2013年春のことだったようだ.今では隅田川貨物駅の構内に古くから存在していた隅田川貨車区も機関区の一部門として合体している.なお機関車の配置は,ない.

その隅田川機関区へ向かった理由はといえば,有料の撮影および見学イベントの合間に,鉄道趣味月刊誌のための取材時間を設けてくださったので馳せ参じた,ということである.
 有料イベントは各地の鉄道会社ですっかり定着した感が強い.初期には現場の設定に課題があったイベントもあるようだが,このところ見聞きするところでは,なかなか充実した内容となっているようである.僕たちへの課題は,財布の中身との相談が必要……というところだろうか.あともうひとつ,それは参加資格である.例えば今回もタイトルに“親子わくわく見学会”とある.子供を誘い出して……ということが可能な人はよいのだが,そうでないファンは涙をのむことになる.でもご安心を! 少なくともJR貨物では,今回と同じような催しを,趣味人向けに開催することも構想しているとのことである.興味のある人は今日以降,JR貨物のウェブサイトをこまめにチェックされることをお薦めしておこう.

さてその内容はといえば……
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DE10のなかでも貨物専用の500番代の出力向上版である1662号機と,入換作業に際して発生する騒音を抑止することを目的として開発されたDE11の2000番代の2004号機がゆったりと並べられていた.

さらにその隣には,いまや貴重品となった車掌車ヨ8803が.
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DE10ならではの見どころ,それがこの台車.3軸が固定されているのではなくて曲線通過が容易なように深く工夫されている,その構造の一端を間近に観察することができた.
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キャブの見学も.入換作業の際に機関車の前後どちらも見やすいように横向きに配置された運転席の座り心地というか,前後の見透し具合を体感することができた.

DD13も同じ運転席が横向きだったが,あちらは一組だけ.対してDE10は二組設けられているので,作業の状況に応じて運転席を選択できる.
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DE11は,具体的には横浜羽沢駅が住宅地に隣接しているため騒音を軽減するために開発されたグループ.足回りがほぼ完全にカバーされていることと,2エンド側の機械室が長くて,それに伴って全長が延びた…….

そのような経緯から,わずか4輛しか製造されず,活躍の範囲も狭かったから東京圏以外のファンには馴染みの薄い機関車だったかもしれない.しかし一方,東急車輛……総合車両製作所からの甲種輸送列車牽引機にも使われていたから,東京近辺のファンは接するチャンスが多かった.
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お別れイベントに際して製作されたヘッドマークも掲出された.ちなみにこの2輛の機関車,現在も車籍はあるとのこと.全般検査の期限も来ていない.ただ交番検査を実施していないので,実用に供することはない,とのことである.

機関車の背景にある建屋は検修庫.
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検査を受けるコンテナ車を間近に見学できるのはもちろんだが,ピットに潜って下からのコンテナ車を観察するのは,格別の体験.

隅田川貨物駅が隣接……というより同じ敷地内にあるのだから,仕分け線に出入りする貨車や,載せられたコンテナが気になる人も多いだろう……って,それは僕自身のことでもある.
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折りしも転線途中の列車があった.その中で目を惹いたのが,明るい緑色で“AKC”と大きくレタリングされた,株式会社旭が所有する31フィート有蓋コンテナ.内容積は形式が示す通り約52立方メートル.全部で50個ぐらいが使われているらしい.

しかし会場にもちゃんとコンテナは展示されていた.
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丸和通運が所有するUF16A-931.冷凍機付きの有蓋コンテナである.列車に組み込まれている姿を見かけることは少なくないが,ステンレス製の内張は,なかなかお目に掛かれるものではない.ちなみに2025年の総合車両製作所和歌山事業所製.

UF16Aというコンテナは1980年代から大量産されていて,かつてはヤンマーがリース用として大量に保有していたことがある.所有者も数多くて,コンテナウォッチの好対象のひとつである.模型製品も発売されているほどに.

楽しい時間は瞬く間に過ぎ去る.午後の見学会が始まる前にお暇して南千住の駅へ.復路は多少の遅れがあっても,問題ないし,やっぱり地上の鉄道にも.乗りたい……そうしたら,なんと常磐線の上り列車が来ない.その代わりに,武蔵野線に向かうのだろう,EF210-177牽引の貨物列車が待機中.
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朝のうちは見えなかった東京スカイツリーが…….貨物列車の傍らを東京地下鉄の13000系が通り過ぎて行く.そしてその高架下の隙間からは,現役の入換機HD300が顔をのぞかせていた.

貨物列車の発車時刻になっても乗るべき電車やってこない.でも,目の前をゆっくりと通り過ぎて行くコンテナたちを観察することができた.ということで,寒いながらも充実した2時間を過ごすことができた日曜日となった.

というようなイベント,魅力的ではないか.チャンスがあれば,ぜひご応募を.この日の僕と同じ体験ができるとは限らないことは,ぜひともご理解いただきたい.でもでも,JR貨物の皆さんは,きっとその時に応じた,楽しい企画を考えだしてくださるに違いない.乞うご期待!

※2026.02.18:一部語句修正