9月2日,西武鉄道から“西武鉄道20000系が里帰りリニューアルします”と題したリリースが発表された.
確かにデビューから四半世紀を経ているから,大規模更新の時期ではある.それにしても気になるのが“里帰り”というフレーズ……と思ったら,日立製作所からも同名のリリースが届いた.
お顔は,窓下の前照燈間の飾り板がライオンズブルーから灰色に変更され,入れ替わりにその両側がライオンズブルーとなった.側面腰板のライオンズブルーの帯は青と緑のグラデーションによる太い帯に変更されている.写真:西武鉄道/日立製作所
屋根上では空調装置が大きくなっているように見える.2輛目以降の通風器は残っているが,そのあたりは実際にはどうなるのか.
リリースには,補助電源装置,空調装置,モニター装置などを更新.放送装置や非常通報装置などの補助機器を更新.とある.そのまま読めば主制御装置は継続して使われることになる.
僕のデジタルカメラで撮影した,もっとも“古い”と思われる20000系の写真.デビュー後7年を経過しているが,まだまだ新車の香りを残していた頃である.前照燈はシールドビーム,行先・列車種別表示は3色LED.左は地下鉄からやってきた6000系.中村橋-富士見台 2008-10-15
西武20000系とは,東急車輛で量産されたステンレス鋼製の6000系に対して,日立製作所で製造されたアルミ合金製電車である.
この6000系と20000系の間には日立製作所製のアルミ合金製6000系……6050番代が含まれている.この6050番代は全部で8編成が投入されたが,さらにそのうち最後の3編成は車体をマイナーチェンジし,台車も新しくなった.
そのあたりの変遷は,とれいん誌2012年2月号(通巻446号)での山下 満さんの解説記事や,2024年8月号(通巻596号)での池添智和さんによるMODELERS FILE 西武鉄道6000系電車に詳しい.
20000系の登場には,アルミ合金製6000系の実績が,具体的にどのように影響したのかは知る由もないが,大いに参考になり,影響したのは間違いないだろう.
ご参考までに,アルミ合金製の6153編成近影.パンタグラフ,戸袋窓,前照燈,主制御装置,そしてお顔が銀から白へ……新造から30年の間に姿は少しずつ変化してきた.東長崎-江古田 2026-7-4
さて,20000系の内装リニューアルのメニューは,木目調の床面と濃いブルーの腰掛表地,ベージュ系の内張の取り合わせによる,西武鉄道らしい“やさしい”空間を目指すという.
床は木目調,内壁や大型化される袖仕切はベージュ,側扉内張はグレー,側窓上の波模様飾り板は存置,側扉上の鴨居部の情報表示装置は……LEDのまま? 写真:西武鉄道/日立製作所
優先席と,全車に設けられるフリースペース部分.腰掛表地はモノトーンではなく細かい柄が折り込まれているように見える.吊り手が新しくなっていることも判る.写真:西武鉄道/日立製作所
……と,ここまでは,ほかの車輛のリニューアル計画発表にも共通する項目である.
しかしここから先が大きく異なる.リリースの末尾には,9月3日と4日に東京国際フォーラムで開催される“Hitachi Social Innovation Forum 2026 JAPAN”において,“既存アセット×デジタルで拓くサステナブルな鉄道運営”という演題でこのプロジェクトが紹介されると記されていた.
そこで,4日の午後3時,有楽町に駆けつけて,日立製作所の岩崎充雄理事と西武鉄道の町田 明 常務執行役員鉄道本部長によるプレゼンテーションを取材してきた.
右から日立製作所の岩崎充雄理事,西武鉄道の町田明鉄道本部長,左がモデレーターを務めた日立製作所の豊田玲子モビリティAIトランスフォーメーション推進部長.
今回のプロジェクトは,その始まりこそ,20000系のリニューアルを実施するに際して,サステナ車両の受け入れ改造整備ために西武鉄道の車両検修場の能力が足りないのをどのように補うか……であったけれど,議論を重ねるうちに,従来の延命目的のニューアルではなく,生みの親である日立と育ての親である西武とが共同でノウハウを提供し,もっと前向きに車輛価値を高い水準で維持するための方策を編みだせないだろうか,という考え方に発展していったのだという.
西武としては一時的なリニューアル工事のためのスペースや人員の確保が必要なくなり,日立としてはこれを契機として車両リニューアルをひとつの事業として展開することが可能となる…….
大まかにいえば,そのような経緯だったようである.
今後,段取りを具体的に煮詰めた上で,2028年から16編成144輛が小手指と下松の間を順次往復することになる予定.楽しみ!
町田常務からは,20000系のお話にとどまらず,現在進行中のサステナ車両改修工事の様子についての話題も飛び出した.しかも,写真パネルが用意されていた元小田急8000系のみならず,元東急9000系改め西武7000系についても興味深い言及があった.
小田急8000系を西武8000系に生まれ変わらせるための工事の様子を示した写真パネル.
その中で印象的だったのは,
“他社の車輛を譲り受けることには,部内には技術的にも心理的にも不安が存在したのは事実だが,打ち合わせを進めていくうちに,これまでの自分たちの車輛では考えられなかった構造やノウハウなど,多くのことを学ぶことができた”
“これからの車輛新造に際しても,従来の西武の常識に囚われない発想での企画が可能になりそうだ”
というお話だった(具体的な言葉については僕の頭の中での“翻訳”や“意訳”があります).
元小田急8000系.今日も元気に国分寺線を走っている.写真は昨年の夏にデビューした直後の姿.二番目の編成が小田急から到着するのも遠い将来ではないだろう.小川 2025-6-1
現在,次々と整備が進んでいる元東急9000系.今週末からは狭山線に続いて西武秩父線でも営業運転を開始すると発表されている.西所沢 2026-7-11
なお西武8000系については昨年7月号(通巻607号)のMODELERS FILEでご紹介した.
確かにデビューから四半世紀を経ているから,大規模更新の時期ではある.それにしても気になるのが“里帰り”というフレーズ……と思ったら,日立製作所からも同名のリリースが届いた.
お顔は,窓下の前照燈間の飾り板がライオンズブルーから灰色に変更され,入れ替わりにその両側がライオンズブルーとなった.側面腰板のライオンズブルーの帯は青と緑のグラデーションによる太い帯に変更されている.写真:西武鉄道/日立製作所
屋根上では空調装置が大きくなっているように見える.2輛目以降の通風器は残っているが,そのあたりは実際にはどうなるのか.
リリースには,補助電源装置,空調装置,モニター装置などを更新.放送装置や非常通報装置などの補助機器を更新.とある.そのまま読めば主制御装置は継続して使われることになる.
僕のデジタルカメラで撮影した,もっとも“古い”と思われる20000系の写真.デビュー後7年を経過しているが,まだまだ新車の香りを残していた頃である.前照燈はシールドビーム,行先・列車種別表示は3色LED.左は地下鉄からやってきた6000系.中村橋-富士見台 2008-10-15
西武20000系とは,東急車輛で量産されたステンレス鋼製の6000系に対して,日立製作所で製造されたアルミ合金製電車である.
この6000系と20000系の間には日立製作所製のアルミ合金製6000系……6050番代が含まれている.この6050番代は全部で8編成が投入されたが,さらにそのうち最後の3編成は車体をマイナーチェンジし,台車も新しくなった.
そのあたりの変遷は,とれいん誌2012年2月号(通巻446号)での山下 満さんの解説記事や,2024年8月号(通巻596号)での池添智和さんによるMODELERS FILE 西武鉄道6000系電車に詳しい.
20000系の登場には,アルミ合金製6000系の実績が,具体的にどのように影響したのかは知る由もないが,大いに参考になり,影響したのは間違いないだろう.
ご参考までに,アルミ合金製の6153編成近影.パンタグラフ,戸袋窓,前照燈,主制御装置,そしてお顔が銀から白へ……新造から30年の間に姿は少しずつ変化してきた.東長崎-江古田 2026-7-4
さて,20000系の内装リニューアルのメニューは,木目調の床面と濃いブルーの腰掛表地,ベージュ系の内張の取り合わせによる,西武鉄道らしい“やさしい”空間を目指すという.
床は木目調,内壁や大型化される袖仕切はベージュ,側扉内張はグレー,側窓上の波模様飾り板は存置,側扉上の鴨居部の情報表示装置は……LEDのまま? 写真:西武鉄道/日立製作所
優先席と,全車に設けられるフリースペース部分.腰掛表地はモノトーンではなく細かい柄が折り込まれているように見える.吊り手が新しくなっていることも判る.写真:西武鉄道/日立製作所
……と,ここまでは,ほかの車輛のリニューアル計画発表にも共通する項目である.
しかしここから先が大きく異なる.リリースの末尾には,9月3日と4日に東京国際フォーラムで開催される“Hitachi Social Innovation Forum 2026 JAPAN”において,“既存アセット×デジタルで拓くサステナブルな鉄道運営”という演題でこのプロジェクトが紹介されると記されていた.
そこで,4日の午後3時,有楽町に駆けつけて,日立製作所の岩崎充雄理事と西武鉄道の町田 明 常務執行役員鉄道本部長によるプレゼンテーションを取材してきた.
右から日立製作所の岩崎充雄理事,西武鉄道の町田明鉄道本部長,左がモデレーターを務めた日立製作所の豊田玲子モビリティAIトランスフォーメーション推進部長.
今回のプロジェクトは,その始まりこそ,20000系のリニューアルを実施するに際して,サステナ車両の受け入れ改造整備ために西武鉄道の車両検修場の能力が足りないのをどのように補うか……であったけれど,議論を重ねるうちに,従来の延命目的のニューアルではなく,生みの親である日立と育ての親である西武とが共同でノウハウを提供し,もっと前向きに車輛価値を高い水準で維持するための方策を編みだせないだろうか,という考え方に発展していったのだという.
西武としては一時的なリニューアル工事のためのスペースや人員の確保が必要なくなり,日立としてはこれを契機として車両リニューアルをひとつの事業として展開することが可能となる…….
大まかにいえば,そのような経緯だったようである.
今後,段取りを具体的に煮詰めた上で,2028年から16編成144輛が小手指と下松の間を順次往復することになる予定.楽しみ!
町田常務からは,20000系のお話にとどまらず,現在進行中のサステナ車両改修工事の様子についての話題も飛び出した.しかも,写真パネルが用意されていた元小田急8000系のみならず,元東急9000系改め西武7000系についても興味深い言及があった.
小田急8000系を西武8000系に生まれ変わらせるための工事の様子を示した写真パネル.
その中で印象的だったのは,
“他社の車輛を譲り受けることには,部内には技術的にも心理的にも不安が存在したのは事実だが,打ち合わせを進めていくうちに,これまでの自分たちの車輛では考えられなかった構造やノウハウなど,多くのことを学ぶことができた”
“これからの車輛新造に際しても,従来の西武の常識に囚われない発想での企画が可能になりそうだ”
というお話だった(具体的な言葉については僕の頭の中での“翻訳”や“意訳”があります).
元小田急8000系.今日も元気に国分寺線を走っている.写真は昨年の夏にデビューした直後の姿.二番目の編成が小田急から到着するのも遠い将来ではないだろう.小川 2025-6-1
現在,次々と整備が進んでいる元東急9000系.今週末からは狭山線に続いて西武秩父線でも営業運転を開始すると発表されている.西所沢 2026-7-11
なお西武8000系については昨年7月号(通巻607号)のMODELERS FILEでご紹介した.








