後楽園第2架道橋というのだそうだ.銘板によれば平成5/1993年9月の東京鉄骨橋梁製作所製.渋谷駅でも見掛けた会社名である.
 あれ?記憶では,ずっと前から,ちょっと可愛い円弧を描いた桁だったような気がしていたのだけれど.
 もしかしたら,同じ形で架け替えたのかと,昭和51/1976年9月に撮影のネガを引っ張り出してみたところ,別にどうということのない,橋梁ですらない単なるコンクリートの高架橋であった.記憶なんて,本当に当てにならないものである.
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文京シビックホールの横を,本郷三丁目に向かうグ02系第3編成.手前に見えるのが後楽園第2架道橋.鋼製のボックス桁である.
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桁に注目する.画面左端,影の中に銘板が見える.


この,東京地下鉄丸ノ内線の架道橋が意匠性に富んでいるのは,後楽園駅が後楽園遊園地や東京ドームという観光地の拠点駅であるからに違いない.駅の外部から見る橋脚も,桁と一体化したようなデザインである.
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40年前の丸ノ内線後楽園駅風景.架道橋は,単なる高架橋の一部に過ぎなかったことが,よくわかる.2面の対向式ホームを覆うドームは,ちょっとベルリンのSバーン駅を思い起こさせる,エキゾチックな雰囲気で,大好きだった.

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現在の後楽園駅のホーム.メトロ・エム後楽園という名前の商業ビルに覆われてしまっている.ホームドア設置の設置によっても,風景が大きく変化した.


そのメトロ・エム後楽園というビルが開業したのは平成6/1994年4月だそうだから,架道橋の架け替えは,その工事の一連ということになる.

工事といえば,車輛が02系に置き替えられてから約20年.
 以来,ほとんど変わることなく経過してきた丸ノ内線だが,つい先日…3月末に発表された中期経営計画では,大きな変化が始まることが公表された.
 第一は新型車輛投入…12000系だろうか….平成30年度から4年間で53編成を製造して現在の02系を置き替えることになっている.銀座線1000系,日比谷線13000系に続いて操舵台車を採用して曲線通過時の走行安定性の向上が図られる.同時に電圧を600Vから750Vに昇圧する.
 第二が,列車運行,信号装置を無線式の列車制御装置(CBTC)に更新すること.

昭和51/1976年の後楽園駅での撮影は,300・500形の正面窓が続々とHゴム支持に改造されていたから,未改造の姿を記録したかった,というのが理由.なにしろこの電車も,子供のころの絵本に,“50年間はモデルチェンジの必要がない”と記されていたような記憶が…とにかく,大好きな電車のひとつだったから.である.まぁ,僕が好きじゃない電車なんて,そうそうは,ないわけだけれど.