僕にとって新宿は,町も駅も,ずっとおなじみの存在.
 昭和38/1963年に京王電車は地下に潜ってしまい,あとは昭和46/1971年に京王プラザホテルが出来上がるまでは,だだっ広い浄水場跡地と飲み屋街しかないという印象だった西口周辺は,今や都庁を筆頭に高層ビルが数え切れないほどだし,面影を残していそうな東口側だって,個々のお店単位では,ちょっとは常連のようになっていた呑み屋もレストランも喫茶店も,数えるほどにも残っていない.
 あの頃に走っていた電車は,今ではほとんど影も形もないけれど.駅をぐるっと取り囲む建物群は,東口のターミナルビル…今はルミネエストだが,旧名のマイシティが,僕には一番馴染みがある…を筆頭に,小田急デパート京王デパートも,変わらぬ佇まいを見せているし,小田急駅の東端,中央・総武緩行線との間のX形の柱も,なんらか変らない.
 そんな新宿駅の印象が,4月4日に一変した.その名前は“バスタ新宿”.
 場所は,これまでの新宿南口とは甲州街道…国道20号線を挟んだ反対側.20年ほど前から“新南口”として営業していたエリアである.
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甲州街道からさらに南,“サザンテラス”の跨線橋から見た“バスタ新宿”全景.右側の高いビルは別の施設で“JR新宿ミライナタワー”という.左端は,国鉄時代には車両設計事務所や構造物設計事務所があって,何度も出入りした懐かしのビル.


新宿駅周辺の長距離バスターミナルは,京王デパートの向かいにある安田生命ビルの裏側に主要部分があった.もっとも,知っている人は知っているとおり“ターミナル”とは名ばかりで,大型バスが縦列に2台停まるのが精一杯.しかも出発してから大通りに出るまでの道の狭いこと.当然,全てのバスを捌き切れるわけもなく,スバルビルや京王デパートの前など,何ヵ所にも分散していて,わかりにくいことこの上なかった.それを統合しようというのが,“バスタ新宿”構想だったわけである.
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甲州街道から見た“バスタ新宿”.これまでは客待ちのタクシーが車線をふさいでいて,通過するのに10分以上を要することもあったこの跨線橋だが,実にスッキリした.このレベルは,バスタでは2階となる.ひとつ上の3階がバスの降車場とタクシー乗り場,4階がバス乗り場とされている.


2階と3階には歩行者エリアと展望デッキがあり,線路を見下ろすことができる.僕にとっては,新たな,屋根上観察スポットというわけである.とりわけ4階は仕切りも高くないので,絶好のポイントといえる.
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3階デッキから見た線路.右端が中央・総武緩行線の千葉方面行き,そこから左へ山手線,緩行線三鷹方面行き,中央快速線高尾方面行き,東京行き,埼京,湘南新宿…(山手貨物線というのが手っ取り早いわけだが)と続く.訪問時は午後なので日陰になっているが,午前中なら順光.

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バス乗り場.左がメインのホーム,右がチケットカウンターと待合室.これまでとは偉い違い.

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ビルの東の端にバスが出入りするスロープがある.到着と出発のバスがひっきりなし.ってくる,バスにちょっと興味のある人なら,飽きることはないだろう.

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ひっそり閑とした,これまでのターミナル.改めてその狭さに感心した.これからどのように再利用されるのだろうか.待合室は,既にヨドバシカメラの売場と化していた.