東武博物館から,“写真展『 東武鉄道 蒸機の記憶 ~蒸気機関車廃止50年記念~ 』開催 7月20日から10月10日まで”という案内をいただいた.
50年前といえば昭和41/1966年.中学に入ったばかりのころである.しかも西宮在住だったのだから,東武鉄道の現役蒸気機関車に触れる機会は,なかった.
けれど,僕が初めて“鉄道ピクトリアル”という月刊誌を購入した,昭和43/1968年6月号は特集が“2Bテンダ機関車”だった,というか,それが目的で買ったのだけれど,その表紙を飾っていたのが,東武の5号機関車であった.
この号には,テーマである2B機関車(僕には4-4-0…よんよんれい…という呼び方の方がしっくり来るといえば,なにが愛読書だったのか,お判りになる方も,少なからずおられることだろう)に関する詳しい記事や西尾克三郎さん撮影の名作を中心とするグラフページの他に,帝釈人車軌道という,聞いたこともない地名の,それも“人車”なる乗り物のことが掲載されていた.“男はつらいよ”なるシリーズ映画が製作される以前の関西の中学生が,“東京葛飾柴又の帝釈天”など,知る訳もなかった.その筆者は白土貞夫さん.ずっと後に初めてお目にかかったおり,このことをお話ししたら,とても喜んでくださって嬉しかった.
同じ号には京王帝都電鉄5100系の紹介(今読み返せば,実に簡潔な記事ではあるが)も出ていた.“通勤電車にも冷房が載るのかぁ”と思いはしたものの,その5100系に搭載されたのと,ほとんどそっくりの冷房装置が,翌年の秋には京阪電車にも載ることになろうとは,思いもよらなかった僕である.
と,話は大きく道を逸れた.東武の蒸機である.
写真展は7月20日からスタートだったけれど,目先の用事に追われてすぐには訪問できず,実現したのは1週間後のこと.

久し振りに訪問した東武博物館の正面玄関.オープンから20年以上を経ても,変わらず美しく手入れされているのが嬉しかった.
写真展の会場は博物館の一番奥,記念物保存物展示コーナー.入り口からここへたどりつくまでに目に入る展示物に,あちこち寄り道したくなってしまうのだけれど,この日はとにかく会場へ.
会場は格別凝った装飾がされているわけではなく,むしろ素朴とさえいえる.けれどそれは,担当学芸員さんのセンスによる,黙々と働いた東武鉄道の蒸気機関車を偲ぶのにふさわしい演出なのだと思う.

展示の最初は,同鉄道に在籍した蒸気機関車たちの中から15種の写真.どこかで見たような写真ももちろん含まれるが,初めて,という絵柄もある.この展示の素晴らしいところは,なにより,そのほとんどが昭和10年代の撮影であること.存外苦労したのがC11の写真の少なさだったという.

続いて,沿線風景に融け込んだ機関車の写真がすらっと並ぶ.場所別ではなく年代順という展示方法が,ちょっと新鮮.手前には機関車番号板や製造銘板が展示されているが,常設展示されているのとは異なるものを収蔵品から選んでの出展であるという.

年代順,とはいうものの,客車列車も運転されていた矢板線だけは特別な存在だったようで,特別コーナーが設けられている.その隣りのケースは,業平橋の構内に並べられていた廃車体の写真.機関車のそばで遊ぶ子供たちも,今ではもう60歳前後のはず…….
そして51年目となる来年には,鬼怒川線でC11の運転が始まる.既に2輛の車掌車は到着し,南栗橋車両管区構内に建設中の検修棟も,完成が近づいている.特設サイトもスタートして情報発信中.その中からのぞくことができるツイッターでは,7月29日に三次から到着した転車台の修復作業が紹介されているのだが,作業担当は,7月7日付けのここ“変身途中の渋谷駅”や,その翌週のここ“地下鉄丸ノ内線後楽園駅のボックス桁”で触れた東京鐵骨橋梁なのだそうだ.なんたる偶然!
写真展とともに,蒸機運転準備の動きにも,大いに注目したい.
東 武 博 物 館:〒131-0032 東京都墨田区東向島4-28-16 TEL.03-3614-8811
開 館 時 間:午前10時から午後4時30分(入館は午後4時まで)
休 館 日:毎週月曜日(月曜日が祝日・振替休日の場合は、その翌日)
及び年末年始(12月29日~1月3日)
入 館 料:大人200円,子供100円(4歳~中学生まで)
※障碍者手帳所持者は当人および介護者2名まで半額.
団体=大人100円 子供50円(4歳~中学生まで)
※団体割引は引率者を含む大人・子供合せて20名から
※ここに掲載した写真は,このブログに掲載するために予め許可をいただいて撮影したものです.会場内は撮影禁止です.
50年前といえば昭和41/1966年.中学に入ったばかりのころである.しかも西宮在住だったのだから,東武鉄道の現役蒸気機関車に触れる機会は,なかった.
けれど,僕が初めて“鉄道ピクトリアル”という月刊誌を購入した,昭和43/1968年6月号は特集が“2Bテンダ機関車”だった,というか,それが目的で買ったのだけれど,その表紙を飾っていたのが,東武の5号機関車であった.
この号には,テーマである2B機関車(僕には4-4-0…よんよんれい…という呼び方の方がしっくり来るといえば,なにが愛読書だったのか,お判りになる方も,少なからずおられることだろう)に関する詳しい記事や西尾克三郎さん撮影の名作を中心とするグラフページの他に,帝釈人車軌道という,聞いたこともない地名の,それも“人車”なる乗り物のことが掲載されていた.“男はつらいよ”なるシリーズ映画が製作される以前の関西の中学生が,“東京葛飾柴又の帝釈天”など,知る訳もなかった.その筆者は白土貞夫さん.ずっと後に初めてお目にかかったおり,このことをお話ししたら,とても喜んでくださって嬉しかった.
同じ号には京王帝都電鉄5100系の紹介(今読み返せば,実に簡潔な記事ではあるが)も出ていた.“通勤電車にも冷房が載るのかぁ”と思いはしたものの,その5100系に搭載されたのと,ほとんどそっくりの冷房装置が,翌年の秋には京阪電車にも載ることになろうとは,思いもよらなかった僕である.
と,話は大きく道を逸れた.東武の蒸機である.
写真展は7月20日からスタートだったけれど,目先の用事に追われてすぐには訪問できず,実現したのは1週間後のこと.

久し振りに訪問した東武博物館の正面玄関.オープンから20年以上を経ても,変わらず美しく手入れされているのが嬉しかった.
写真展の会場は博物館の一番奥,記念物保存物展示コーナー.入り口からここへたどりつくまでに目に入る展示物に,あちこち寄り道したくなってしまうのだけれど,この日はとにかく会場へ.
会場は格別凝った装飾がされているわけではなく,むしろ素朴とさえいえる.けれどそれは,担当学芸員さんのセンスによる,黙々と働いた東武鉄道の蒸気機関車を偲ぶのにふさわしい演出なのだと思う.

展示の最初は,同鉄道に在籍した蒸気機関車たちの中から15種の写真.どこかで見たような写真ももちろん含まれるが,初めて,という絵柄もある.この展示の素晴らしいところは,なにより,そのほとんどが昭和10年代の撮影であること.存外苦労したのがC11の写真の少なさだったという.

続いて,沿線風景に融け込んだ機関車の写真がすらっと並ぶ.場所別ではなく年代順という展示方法が,ちょっと新鮮.手前には機関車番号板や製造銘板が展示されているが,常設展示されているのとは異なるものを収蔵品から選んでの出展であるという.

年代順,とはいうものの,客車列車も運転されていた矢板線だけは特別な存在だったようで,特別コーナーが設けられている.その隣りのケースは,業平橋の構内に並べられていた廃車体の写真.機関車のそばで遊ぶ子供たちも,今ではもう60歳前後のはず…….
そして51年目となる来年には,鬼怒川線でC11の運転が始まる.既に2輛の車掌車は到着し,南栗橋車両管区構内に建設中の検修棟も,完成が近づいている.特設サイトもスタートして情報発信中.その中からのぞくことができるツイッターでは,7月29日に三次から到着した転車台の修復作業が紹介されているのだが,作業担当は,7月7日付けのここ“変身途中の渋谷駅”や,その翌週のここ“地下鉄丸ノ内線後楽園駅のボックス桁”で触れた東京鐵骨橋梁なのだそうだ.なんたる偶然!
写真展とともに,蒸機運転準備の動きにも,大いに注目したい.
東 武 博 物 館:〒131-0032 東京都墨田区東向島4-28-16 TEL.03-3614-8811
開 館 時 間:午前10時から午後4時30分(入館は午後4時まで)
休 館 日:毎週月曜日(月曜日が祝日・振替休日の場合は、その翌日)
及び年末年始(12月29日~1月3日)
入 館 料:大人200円,子供100円(4歳~中学生まで)
※障碍者手帳所持者は当人および介護者2名まで半額.
団体=大人100円 子供50円(4歳~中学生まで)
※団体割引は引率者を含む大人・子供合せて20名から
※ここに掲載した写真は,このブログに掲載するために予め許可をいただいて撮影したものです.会場内は撮影禁止です.