もう2週間近く経ってしまったが,11月の13日には近鉄22600系のローレル賞,19日にはJR東日本E259系へのブルーリボン賞授与式(贈 呈側からは授賞式,受ける側からは受賞式ということになる.ここではそのどちらでも通用しそうな,このことばを使うことにした)が行なわれた.
  ブルーリボン賞は昭和33/1958年に始まって,小田急のSE車こと3000系が第1回目の受賞車輛となっている.ローレル賞は昭和36/1961年に スタートして,阪急の“オートカー”こと2000・2300系が最初の選定車輛であった……というようなことは,このブログの読者ならば多くの方がご存じ の歴史かもしれない.鉄道友の会のウェブサイトを繙けば,歴代の選定車輛が紹介されていて,過去を振り返ることも簡単にできる.
  日本中の鉄道車輛が選考対象となるわけだから,毎年の授与式も全国各地で催されることになる.できることならばその全てにお邪魔したいところだが,スケ ジュールなどの都合で,なかなかそうもいかない.せめて,というわけで,東京近辺での式典にはできるだけ顔を出すことにしているし,各地にお住まいの方に お願いして取材することもある.
 今年は,ローレル賞が後者の,ブルーリボン賞が前者の例となり,近鉄の上本町駅には来住憲司さんに出向いてもらい,大船駅には僕自身が出かけることになった.

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上本町駅ホームでテープカット.このあと,祝賀列車が京都線の宮津まで運転され,その車内で記念プレートの除幕が行なわれた.写真:来住憲司

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大船駅ホームでの記念盾披露.横に停車中の車輛はE259系第1編成.しかし祝賀列車ではなく,通常の営業列車“成田エクスプレス39号”である.

一方は土曜日の開催で,しかも記念列車の運転や車庫での撮影会など盛り沢山.もう一方は営業列車出発のタイミングを活用しての式典.しかも平日.
 けれども,それは今に始まったことではなく,慨して私鉄では“お祭り”となることが多いのに対して,国鉄/JRでは淡々としている“ように見える”のは,昔からの傾向といえる.
  この20~30年の記憶を辿ってみても,国鉄/JRで祝賀イベントが開催された記憶があるのは,東京近辺では“サロンエクスプレス東京”ぐらいだろう か.JR九州の“ソニック”こと883系や“つばめ”787系,JR北海道の“フラノエクスプレス”キハ83・84系あたりは,祝賀イベントが行なわれた ようだが.

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22600系には大きなヘッドマークを取り付けたまま,新設の……といっても平成5/1993年開設……宮津車庫まで祝賀列車を運転,そのまま記念撮影会となった.写真:来住憲司

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E259系の装飾は,先頭車の前頭と運転室下部側面に貼られた記念ロゴ入りステッカー.これはこれでさり気なくて,好きだったりはする.

鉄道が好きな人たちの,仲間うちでのお祭り的な行事として始まったこの“ブルーリボン賞”と“ローレル賞”だが,いつのころからか,鉄道会社が“ぜひとも”と,大乗り気になり,一般新聞などでも採り上げられることが増えて,すっかり社会的行事となった感が強い.
 50年を越す歴史を重ねたこのイベント,これからも純粋な気持ちの発露を持続させつつ,賑やかに続けられることを,願ってやまない.
 
※decoさんからコメントで指摘されました通り,賞の名前と受賞車輛が入れちがっておりましたので訂正いたしました.2011.11.26 08:40