ブルーモーメントは朝と,夕方の1日に2回,昼と夜の境目のほんの短い時間,一面青い光に照らされたようになる現象です.夕方でいえば,太陽が完全 に沈みきって,暗闇に変わる直前のいわゆる「薄明」の時間帯です.特に,雲がない晴天の時にブルーモーメントは起こりやすいですが,日本だとこの時間はほ んの10分ほどなので,忙しい生活の中では見過ごしてしまうことも多いでしょう.「ブルーモーメント」はもともと北欧で生まれた言葉だそうで,白夜の頃に はこれが2〜3時間も続くそうです.
私は特に青さが際立つ雪中のブルーモーメントが好きで,冬に雪国へ旅行に出かけると,この時間帯には車 窓を見る目がいつもより真剣になってしまうのです.でも,極上のブルーモーメントに出会えることはめったになく,たまに出会えたとしても,短時間の現象ゆ え,カメラにうまく収められないことが多いのです.列車が走っているときに撮っても,暗いのでぶれてしまいますし・・
今回は私が今まで旅行中に遭遇したブルーモーメントの写真を少しご紹介しましょう.
飯山線 上桑名川 2月上旬 早朝 6時35分
駅
停車中に列車の最後部から撮影しました.雪は降っていましたが雲がそれほど厚くなかったのでこんなにきれいなブルーが現れたのでしょう.なんだか水中にい
るような不思議な感覚です.早朝の方が空気が澄んで汚れていない分,美しい青です.「早起きは三文の得」とは正にこのことですね!
只見線 大白川 1月上旬 早朝 6時30分頃
山に降り積もった雪も,空も,空気も同じブルーに染まりなんとも美しい
只見線1番列車は大白川で20分の停車があり,駅に到着したときは真っ暗闇だったのに,みるみる空が青くなりだし,ダークブルーから明るい青に刻々と変わっ
ていく様子を一部始終見ることができました.一瞬景色から目をそらしても,次の瞬間にはもう青の様子が変わっていて,瞬きする暇さえなかったのを思い出し
ます.上の信号機の写真から5分くらい経過した写真がこれ.停車時間中にフィルム1本を使い切っていました.
最後に都会のブルーモーメントを.
神奈川県 横浜市中区 大桟橋付近 8月下旬 18時38分
雲が厚めだったので,ブルー度はいまいちですが,夜景を撮影するには,完全に暗くなってしまうよりも,この時間帯がベストです.
と ころで,今回の写真,偶然にも飯山線のものがポジ,只見線はネガ,横浜のものがデジタル一眼レフで撮影したものだったのです.すべてオートで撮ったと思い ますが,一番見たままの風景を再現しているのはポジで撮ったものでした.ネガはこのとき気に入った写真を2L版にのばしたのですが,あがってきたらL版の 色身と全然変わってしまっていて,そのとき体験した空気の色の印象が一気に薄れてしまった記憶があります.また最後のデジタル一眼で撮影した写真も,オー トだと青みがとれてしまうようで,ホワイトバランスや露出をいろいろ変えて撮ってみましたが,ホワイトバランスの設定によっては,見ている景色よりももっ とすばらしい深みのあるブルーに撮影することも出来てしまいますし,余計がっかりしてしまいました.以前8月15日のブログで書いた「デジカメだと画像い じっているうちに自分が見ていた明るさ,色はどれだったのかわからなくなってしまう不安」に悩まされている最中です.
ちなみにこの写真は一番上の飯山線の写真をポジで撮影したあとに,コンパクトデジカメで撮ったもの,なんだか黄色く空が濁って撮影されてしまっていますね.
ホワイトバランスがうまく機能しなかったのか,ホームの照明の明かりも影響していると思いますが,とても残念な結果になっています.
これからどんなブルーモーメントに出会えるでしょうか・・・.もう少しカメラを研究して自分が体験した景色を多く残していきたいです.それとも,いっそカメラはあきらめて自分の目に焼き付けることに徹した方がいいのか・・・. 旅中の課題はますます増えるばかりです.
こうやって見てくると,写真で“ブルーモーメント”を正しくお伝えすることは難しいことがわかります.ここは是非みなさんも,ご自分の目で,刻々と変化してゆく素晴らしい天体ショーを確かめて頂きたいなと思います.