今年の夏にパスポートの申請と受け取りのために,横浜関内のパスポートセンターに何度か行きました.場所はみなとみらい線・日本大通り駅から徒歩5分のところです.
この行き帰りに“電話交換創始の地”とか“外国郵便創業の局”(横浜港郵便局)といった記念碑を数多く目にしました.
いくら横浜で育ったとはいえ,このあたりは用がないと来ないところですし,観光目的で来ようとしても,つい大桟橋とか山下公園,中華街などメジャーなところへ行ってしまいます.道脇の記念碑などいままでずっと気がつかなかったのです.
他にどんなものがあるのだろうとそれ以来気になっていた矢先,横浜市中区役所が発行している「中区の歴史を碑もとく絵地図」というリーフレットを入手しました.それによると実に80近くもの記念碑が存在することがわかりました.
150年前に横浜に港が開港し,近代水道,電信,ビール,アイスクリーム,ガス灯などなど,さまざまな西洋文明が文明開化の中心地であった横浜に入ってき
ました.こんなに多くの碑があったとは今更ながらびっくりなのですが,こうして一覧してみると横浜は西洋文明の受入れ口だったことがよくわかります.
詳しくは中区役所のホームぺージの中区の歴史を碑もとく絵地図コーナーをご覧下さい.地図もPDFで見ることができます.中でも個人的に興味を引かれたのは,“吹奏楽発祥の地”が横浜にあったということですね.(学生時代吹奏楽部員だったので)
鉄道に関係のあるものは
“鉄道創業の地”と“開業当時の横浜駅長室跡”があるとのこと.
場所は桜木町駅を山側の方へ降りて、関内の方へ少し歩いたところです.ほとんどの観光客はランドマークタワーか汽車道の方へ流れていってしまうので,この場
所は人目につきにくいところで,記念碑はひっそりと建っています.案内板等もないので,たどり着くまでにちょっと迷ってしまいました.
動輪の形をした台座の上に,丸みのある鉄板が3枚合わさった形,そのつなぎ目部分にはレールがあしらわれています.さらに碑の上部には蒸気機関車の汽笛を模した部品が飾られています.
日
本で最初の鉄道を造るために,明治3/1870年に鉄道資材をイギリスから購入し,横浜港で陸上げされ,建設が始まりました.2年後の明治5年,旧暦5月
7日,横浜〜品川間に鉄道が仮開業し,それから4ヶ月後の9月12日(新暦10月14日)に新橋〜横浜間が本営業として運転され,日本初の鉄道となりまし
た.
この鉄道発祥の地を記念して,昭和42年10月16日にこの記念碑が建てられたそうです.
記念碑には創業当時の横浜駅の外観と仮開業時の時刻表,運賃表,乗車規則などが刻まれています.当時は1日2往復,横浜〜品川間を35分で運行して運賃は上等が片道1円50銭.中等が1円,下等が50銭だったことなどがわかります.
また,この碑のすぐうしろ側,数歩のところ,地下道入り口階段の左側には“開業当時の横浜駅長室跡”の碑が埋め込まれています.こんなに小さいので,知らなければ見落としてしまいます.
いずれにしても,こんなに存在感なく建っている記念碑が実は日本の鉄道の輝かしい歴史を刻んでいると思うと,寂しくもあり,同時に奥ゆかしさも感じてしまいました.