JR九州の蒸気機関車58654が4月から熊本〜人吉間で再復活することになりました.2005年,“老朽化のため引退”のニュースを聞いたときはかなり衝撃を受けただけに,こういったニュースは何度聞いても嬉しいです.
 8620の機関車のこと,復活までの経緯,今回の再復活で新しくなった点などについては“とれいん”4月号のMODELERS FILEをじっくりご覧いただきたいと思います.

さ て,私が初めて58654にお目にかかったのは,2002年9月のこと.前回のブログで大分駅で撮影した“富士”の写真を載せましたが,この“富士”から 下車して,真っ先に向かった先が豊肥本線の宮地駅,“SLあそBOY”の出発駅でした.九州に行ったらまず“豊肥本線のSLに乗りたい”と随分前から時刻 表をくくる毎日だったのですから……
 なにしろ,世界最大級のカルデラの中を列車が走っているというだけで興味津々なのに,そこに日本最大規模の 3段式スイッチバックがあって,さらに蒸気機関車が走っている!!ともう考えるだけでゾクゾクしてしまいます.もっとも,この外輪山を越えるためには 33.3‰の急勾配があり,平地用の8620が何度もこの勾配に挑んでいれば,体調を崩すのも当たり前のことだったのかもしれません.
 今回再復活する区間は熊本〜肥薩線の人吉までの急勾配が少ない区間なので,負担も軽いでしょう.体を大事に末永く活躍してほしいです.

そ の,58654を苦しめてきた,立野のスイッチバックですが,この“立野”という地名にはとても楽しい伝説があります.私はこのお話を立野駅にあった案内 板で初めて知りましたが,雄大な阿蘇の大自然に見合ったスケールの大きい伝説で,今まで忘れることなく,とても印象に残っているのでご紹介します.

立 野は阿蘇外輪山西壁の中腹に位置しますが,ここは外輪山唯一の切れ目となっています.地形的にはカルデラ内の北を流れる黒川と南を流れる白川が合流して谷 を形成し熊本平野へと流れていきます.地図を見るとよくわかりますが,道路も線路もこの川に沿って通っており,外輪山を越えるにはここしかないというよう な地形です.
 その昔,阿蘇の外輪山には切れ目がなく,その中は水が溜まって,火口湖になっていました.阿蘇を開発した神,健磐龍命(たけいわた つのみこと)は,この水をどこかに流したら,立派な田畑が出来るだろうと考え,外輪山の一角を足で蹴ったところ,水はとうとうと流れ出しました.しかし勢 い余って尻もちをついてしまい,「余はもう立てぬ,もう立てぬ」と叫んだそうです.“立てぬ”がなまって“立野”となり,以後その場所が立野と呼ばれるよ うになったということです.
 
こういったお話を知りつつ,車窓を眺めると,楽しさも倍増しますね.阿蘇には他にも沢山の神話や伝説があるので,調べてみたいです.
 “ハチロク再復活”の話がなぜか神話の話で幕を閉じてしまいましたが,いろいろなことに興味がつきない今日このごろなのであります.

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立野の3段式スイッチバックの3段目から熊本方を望む.写真の中央部分が外輪山の“切れ目”の西の端にあたる.

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