千葉のおへそあたりに位置する木更津から,房総のど真ん中へと分け入ってゆく久留里線は,キハ30・キハ37・キハ38という国鉄時代の通勤形気動車が現役バリバリで見られるという,今ではとても貴重な路線であります.
 来月の“とれいん”(7月号)では“紙成模型塾”と“MODELERS FILE”の二本立てでキハ30を取りあげるので(6月21発売です,お楽しみに!),キハ30を撮影するために,何度か久留里線沿線に繰り出しました.
  千葉育ちの私にとって房総地域は,運転免許を取り立ての学生時分にやたらと走りまわった場所なので,久留里街道と呼ばれる国道410号線や上総亀山駅の近 くにある亀山湖など,“なんだ,ここ来たことあるじゃん”という懐かしい情景ばかり.それでも撮影のロケハン目的で訪れたのは初めてなので,線路を横目に 見ながらのドライブは“こんな面白いところがあったのか!”という新発見の連続でした.今日はそんな“秘境 久留里線”沿線の情景をいくつかご覧いただきましょう.

まずは終点近くの上総松丘〜上総亀山間にある俯瞰スポット.

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久留里線は木更津から出てしばらくは長閑な田園地帯を走りますが,久留里駅を過ぎた途端に山深く分け入ってゆきます.それでも,これだけ高低差のある写真が撮れるところは沿線では唯一でしょう.
 この場所に辿りつくには国道410号から枝分かれする国道410/465号線に入ってゆくのですが,この枝分かれポイントがちょっと国道とは思えない趣なのです↓
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右が国道410号から俯瞰ポイントに入る枝道.何とこれも国道なのだ.

この路地のようなところを曲がると,すぐに急坂となり,素掘りをコンクリで固めただけのトンネルが.そして上り切ったところでさきほど通ってきた久留里街道,ならびに平行する線路をオーバーパスするわけです.
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このあたりでは道幅はもはや軽自動車でもすれ違いが不可能なほどの林道サイズになっています.ここから奥には私は行きませんでしたが,この道は亀山湖の西 10kmほどにある三島湖のあたりで465号線と410号線に分かれ,465号線は上総湊へ,410号線は千倉へと至るようです.

もう一ヶ所,今回のロケで度々足を運んだのは久留里〜平山間のこの場所でした↓
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田んぼの広がる山里の丘陵地帯を縫うようにはい上がってくる線路が,これまた山線ファン(?)にはたまりません.ここは勾配とカーブで速度が落ちるのと,ある程度の引きが取れる場所なので,サイドビューを撮影するのに絶好なのでした.

と,ここまで山深い房総の景色をご堪能いただいたところで恒例の蛇足.

鉄道でも道路でも曲がりくねった細道が大好きな私ですが,生まれ育った近所にもやっぱりそんな場所があるのです.
  新京成の京成津田沼〜新津田沼間は,京成に連絡するために無理矢理単線の線路を敷いたかのような,とても曲がりくねった路線ですが(実際地図で見ると見事 な逆S字を描いています),終点の京成津田沼の近く,通称“タイコ橋”と呼ばれる歩行者用橋の下の切り通しは,8輛編成の新京成電車が数分おきにキーキー いいながら抜けてゆく,勾配・切り通し・急カーブと三拍子揃った知る人ぞ知る名所であります.
 ここを吊り掛けモーターの音を唸らせながら,ギーギー蛇行していた電車を毎日のように見ていた私が細道マニアになってしまったのは当然の結果なのかも.
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京成津田沼駅近くの切り通しを抜ける新京成電車.これが“ちばのほそ道”好きな,私の原点なのは間違いなさそうだ.