ちょっと旧聞に属するのだが6月にイギリスを訪れた帰りに、「ぜひ遊びに来てくれ」と言われていた、ミニネイチャー輸出元のフレヴィー社を訪ねてオランダはアムステルダムに立ち寄った。
「午前中は抜けられない仕事があるので、午後に迎えに行くから」
との言葉通り、午後1時頃にアムステルダムの中心部にある私のホテルに同社のゲラルド社長がボルボのワンボックスでやってきた。
「今日はどこに行きたい?」
と聞かれたのだが、前からゲラルド氏は「農業が本業だ」、といっており好奇心もあって、
「あなたの農場を見せて欲しい」
と言ったら、「それは嬉しい、ぜひ見て欲しい」とのことで、早速案内してもらう。
市内から北へ50キロほど、高速道路なので30分ほどで着いてしまうのだが、あたりは一面真っ平らな畑ばかり。聞けば1920年代に干拓して出来上がった
土地だったが、第2次大戦のドイツ軍の攻撃で堤防が破壊され、ふたたび海の底に戻ってしまった。それを1950年頃に再び干拓し直して農地としたのだそう
だ。
そして案内された彼の自宅兼オフィスでは、巨大な無蓋トレーラーが駐車しており、ジャガイモの出荷が行われている。
巨大トレーラーにベルコンでジャガイモを積み込み中
「このトレーラーは何トン積?」と聞くと、
「40トン積」と軽く答える。冷蔵倉庫に貯留してある昨年収穫したジャガイモを、洗浄、選別して積み込むのに3人がかりで約半日だそうだ。倉庫からジャガイモを運び出すのも巨大なショベルローダー。まったくすごい世界だ。
その後畑も案内してもらう。案内してもらったジャガイモ畑は白い花が綺麗に咲いている。今年9月に収穫する予定とのこと。
「このジャガイモ畑はどのくらいあるんですか」
「8.5ヘクタール、ヘクタールあたり50トンの収穫を予定しているから、425トン、さっきのトレーラーで10台分ぐらい」。
その他に収穫時期の違うジャガイモ、小麦やシュガービーツも作っていて、総面積は82ヘクタールあるそうだ。日本の農地から見たらびっくりするような規模である。
そしてもっと驚いたのが農機。もちろん巨大なトラクターが様々なアタッチメントを引っ張って、耕したり、薬剤を散布したり、収穫したりしているのだが、これがGPSを使って自動運転しているのだ。
GPSは運用している米国が意図的に制度を落としているので、必ず数メートルの誤差があり、そのままではうっかりすると道路まで耕してしまいかねないのだ
が、自宅にもGPS装置を取付、実際の緯度経度との誤差をトラクターに発信して、誤差を吸収するので、数センチの精度を出すことができるのだそうだ。そう
いわれてみれば畑の畝はどこまでもまっすぐ伸びていて、無駄がない。
この巨大なトラクターが誤差数センチで自動運転するのだ

これが木の枝セットの若芽。回りの植物は雑草で取り除くのが大変だ、とゲラルド氏
そして最後に案内してもらったのは、以前弊社で扱っていた「木の枝セット」の畑。まだ若芽の状態で製品の姿は想像もできないのだが、畑は1ヘクタール以上もある大きなものだった。
干拓地で真っ平ら、ということもあるのだろうが、これが大規模農業だ、というまさに実例。思わぬ人脈で見学させてもらうことができた。