HK-20091007
 ご承知の通りアメリカでは長距離の旅客列車サービスは、半官半民の組織のアムトラックが各鉄道の線路を借りて運行する列車を除いては、ほぼ全滅という状 態です。したがって大勢の旅客が利用した旅客駅も実際に鉄道の駅として機能しているものはごく僅かになってしまいました。
 通勤列車が運行する大都市ではまだまだ現役ですし、ショッピングモールやホテルになって新しい機能を発揮している駅もあります。しかし、地方の都市では廃墟となってしまった駅も少なくありません。
  7月に南口編集長と訪問したニューヨーク州バッファローにある、元ニューヨークセントラル鉄道の巨大な駅は、ナイアガラ瀑布を控える大都会でありながら、 町の中心からかなり離れたところにあるため、利用されないままになっていて、地元の人々による再生プロジェクトが開始されていました。
 同じ時に訪れたペンシルバニア州スクラントン(スティームタウンUSAがある町)では、ラッカワナ鉄道の巨大な駅舎がホテルとなっていて、私たちもそこに泊まることができました。
しかし、今回ワイオミング州シャイアンで訪れたシャイアン駅のレストランは、それらにも増して鉄道ファン向けのシチュエーションです。
 元は駅のプラットホームだったと思われるエリアを鉄柵で囲い、街灯を点けて駅舎に設けられたレストランのテラスになっているのです。もちろん私たちもそこで夕食を取ることにしました。
こ こシャイアン駅にも、もちろん旅客列車はやってきません。しかしユニオンパシフィック鉄道オーバーランドルートの要衝に当たる駅なので、平均して 20~30分に1本程度の長大な貨物列車がやってきます。その線路脇のテラス席ですから、私たちにとっては最高の食事場所です。
 レストランに 入ったときはまだ明るかったのですが、だんだん暗くなってきます。写真に写っている街灯に一向に灯がともらないのでウエイター君に「点けてよ」と頼んだと ころ、この駅はシャイアン市の管理で、街灯の点灯はレストランではできないとのこと。やはりこれだけ大きな施設は、民間企業では維持しきれないんですね。 しかし、しばらくすると駅のヤードランプが点灯されて、我がテラス席も明るくなってきました。かのウエイター君「明るくなって良かったね」と他人事のよう にニコニコしています。
 そこでのスナップをご紹介しましょう。本線に停車中の列車を前に夕食中の奥野さんと脇さん。2人ともすこぶるゴキゲンです。しかしレストランの外灯は点かないままです。