先週に続いて欧州の話題.それも,タイトルの通りの衝撃的なニュース.いや,もっともショックを受けたのはフランス政府とアルストムグループだろうけれど.
僕が最初にこの事実を知ったのは,鉄道フォーラムでの10月8日の発言.それを元にインターネット検索してみたら,ユーロスター会社はもちろんプレスリリースを発表しており,さらにフランスやドイツ,英国などの通信社やTV局,シーメンスのサイトに,驚くほどの数のニュースが掲載されていた.さらにロイター社は日本語のサイトでも報じているのに行き当たった.
それらによれば,ユーロスター会社は,競争入札の結果としてICE3ベースの動力分散式車輛を選定したとのこと.残っているは最終的な条件交渉のみであるとも記されている.
フランス政府からは,当然のことながら“仰天した”というコメントが発せられているようだが,ユーロスター会社の最大出資者はフランス国鉄のはずであり,そこがこのような判断を下したのには,それ相応の理由があるとは思う.
しかも,現在のユーロトンネルの通過規格は動力集中式に限定されているのだそうで,動力分散式車輛を導入するためには,種々さまざまな改修工事が必要になるはず.
ドイツ……というかシーメンスの思惑としては,ICE3ベースの車輛を導入できれば,そのままドイツ国内への直通運転が可能になるというメリットがあり,
ユーロスター会社も,これまで目論んできた,例えば英国国内への直通運転や,はたまた夜行列車の運転(これは別会社だったかもしれないが)などの顧客獲得
施策が,ことごとく破談に至っており,なんとか打開策を……と思っていたのではないか.さて,真相はいかに.

ロンドン市内,ハイドパークでの展示のため,ミレニアムパークの観覧車前を静々と進むICE3ベースのユーロスター車輛.モックアップではあるが,なんと手回しのいいことか.Photo:SIEMENS
さてこのICE3ベースの新車輛だが,シーメンスではVeraloと呼んでシリーズ展開をはかっており,これまでにスペインのAVE,ロシアのモスクワ-サンクトペテルブルク間,中国大陸のCRH3などとして輸出を実現している.
今回,優先受注権を獲得したのはVelaro Dと呼ばれるシリーズで,ドイツ鉄道でもまだ営業運転に投入されていない最新バージョン.
8輛1ユニットで,4輛が動力車,4輛が付随車.交流15kV 16-2/3Hz,交流25kV 50Hz,直流1,500V,直流3,000Vの多電源.最高運転速度は交流区間で320km/h,直流区間で220km/h.
ドイツ鉄道では407系と称し,15編成を発注済み.2011年12月に予定されているリン(ライン)-ローヌ新幹線(ディジョン-ミュールーズ)でのドイツからの直通運転に投入の予定だという.
ちなみに今回のユーロスター会社からの発注予定数は10編成だという.

顔もちゃんとユーロスターしているモックアップ.前に立つのはシーメンス・モビリティの最高経営責任者であるハンス-イェルグ グルントマン(Hans-Joerg Grundmann)氏.Photo:SIEMENS