平成15/2003年に初お目見えし,その後,種々の開発試験が行なわれている日本のハイブリッド車輛.JR東日本では平成19/2007年にキハE200という形式を与えた3輛を製作,小海線で実用試験が行なわれているが,今年度からその技術をリゾート車輛に組み込んで東北と信越地方で使うことになった.
床下にディーゼルエンジンを積んでいるとはいうもののそれは発電用であり,走行はE231系と同じ形式の電動機を使うし,発電が必要でないときにはディー
ゼルエンジンはストップさせるから,電気式気動車というより,電車ではあるまいかと思っていたら,リゾート車では“High
Brid”なのか,“HB”なる新しい記号が登場した.形式の300は小海線用キハE200の続き番ということだろうか.
既に長野支社の
信越地区用が披露され,来週あたりは青森と秋田用がお目見えすることになっている.いずれも,スケジュールその他の加減で見に行くことができなくて本誌で
は信越用すら未紹介.歯がゆい思いをしていたのだけれど,今日,“リゾートビュー ふるさと”“リゾートビュー ふるさ
と”HB301-2+HB302-2が上野駅へやってくるというので,喜び勇んで出掛けてきた次第.

普段は“北斗星”が到着する上野駅13番線に据え付けられた“リゾートビュー ふるさと”.入線の直前にはE655系“なごみ”が,特別車E655-1を組み込んだ状態で停車していた.今月末の千葉国体に際して運転されるだろう御召列車のための訓練だろうか.
上
野駅13番線は,上に高架ホームがあるため,暗く,狭くて車輛撮影には不向きな場所.おまけに高架ホームを支えるための柱がたくさんあるので,床下機器も
ほとんど見えないのが残念.しかし他のホームからは隔離されており,加えて報道関係者向けの時間枠があったので,車体や車内はじっくりと観察することがで
きた.
客室は一連のリゾート気動車を基本で特別に凝った造りではない.しかし腰掛部分の床は通路より一段高くなっており,側窓は側板上端までと天地寸法が大きいので,眺望は充分に確保されている.
編成両端が展望室になっているのも同じ.

HB302-2の展望室から見た客席.天井に液晶モニターを取り付けているのが目新しい.列車の前方風景や観光案内を放映するという.展望室の窓は,天地寸法こそ客室と同じだが左右に広くて,迫力ある眺めを確保している.

HB301-2の運転席.JR東日本の標準的機器配置.マスコン・ブレーキは左手ワンハンドル.正面左手に速度計,右手には情報モニターが設置されている.
この“リゾートふるさと”は10月2日から営業運転を 開始する予定.長野を9時3分に発車,姨捨,松本,穂高,信濃松川,信濃大町,白馬に停車して南小谷に13時20分着.戻りは南小谷発が14時44分.松 本着は16時44分,発が55分.姨捨は通過で長野着が18時23分と発表されている.12月までは毎日運転だそうである.
※形式記号をHD→HBに訂正:2010.10.08