駿河台下辺りのことは,このブログの昨年10月8日の回で記した.今回はもうちょっと東側の一角である.
 きっかけは,JR東日本が交通博物館の跡地再開発と御茶ノ水駅のバリアフリー整備について,正式に発表したこと

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まさに万世橋の上から見た,神田万世橋ビルの完成予想図.これによれば,旧交通博物館の展示スペースなどは壊されずに済むようだ.旧万世橋駅の階段やホームなども保存されるといいのだが.写真:JR東日本

工事のスケジュールは今年の6月ごろに着工し,2年半の工期で2012年12月に完成とのこと.20階建のビルにしては随分早いと思う,僕の感覚は古いだろうか.
 細い窓枠などが極めて特徴的だった,建物から半円状に張り出した階段ホールが既に失われていたりするのは悲しいが,うまくデザインされれば,古いものと新しいものとの融和を演出できるはずで,どのような仕上がりになるのか,大いに楽しみ.

万世橋から西に足を向け,坂を上がれば御茶ノ水駅.ここには東端にコンクリートアーチの聖橋が,西端に鋼製アーチの御茶ノ水橋が.片側は神田川で片側は崖.こんな難所に立地するこの駅の改良工事については,JRが発足して間もない頃にデザインコンペが行なわれ,選考も終わって優秀作を発表,いざ具体化へというところで,予想以上に地盤が悪いことが判明して沙汰止みになった……と記憶している.
 今回の計画では現在のホーム直上に人工地盤を構築してそこにホームヘの設備を作るという.駅の外からの景観が根本的にかわることはなさそうだが,それでも趣きのあるホームの上屋などは新造されるかもしれない.そういえば,ここの上屋の柱って,レールだった.覆いがつけられて調べにくくなっていたものだから,銘を調べ終えてないかもしれない.急がなくては.着工は……今年度末の予定だそうである.

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御茶ノ水駅のバリアフリー整備計画図.中央2本の線路上を,ほぼ全面にわたって人工地盤が覆うことになるから,ホームの印象は大きく変ることになるのだろうか.写真:JR東日本

御茶ノ水から坂を降りると須田町.モデラーにとって,この名前でで頭に浮かぶのは,いうまでもなく“カワイモデル”.戦前からの建物はとおの昔に失われてしまったが,なんとなく昔の風情が残っている気がするのは,ビルの色のせいだろうか.

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カワイモデルの入口あたり.この日はお店を訪問することなく,先を急いでしまった.ごめんなさい.

このあたりをさまようと,カワイモデルの斜向かいのうなぎや“きくかわ”を筆頭に,あちこちのお店に引き込まれそうになる.いわゆる“神田散歩”として一般的に有名なエリアからは少し外れているのだけれど,だからこそ好きだという僕は,やっぱりヘソ曲がり?
 いわゆる“看板様式”建物も,どんどん数を減らしつつあるものの,まだ健在.大正から昭和の西洋館だって,大小取り混ぜ揃っている.まったく奥が深い.流石に江戸の旧市街である.

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最後はやっぱり鉄道のストラクチャーで.写真は東松下橋架道橋横の高架橋.線路下が倉庫として使われ,公道に面していないこの一角には煉瓦の飾り仕上げは施されていない.左端にちらりと見える上路式プレートガーダーは,大正十何年かの川崎造船兵庫工場製.