先々週に続いて“あとわずか”の写真展情報.タイミングの問題でこうなってしまったが,それでも駆けつける価値のある催しなのでご紹介する次第(9月6日(日)までである).
テーマは台湾・羅東森林鉄道.
台湾の東海岸にあって,1970年代後半まで現役として存在しながらも,阿里山と違って観光地的な要素がなく,さらに交通の便も悪くて,訪問した人が少なかった鉄道である.
日本人のファンで最初に訪れたのは,おそらくは1960年代半ばの,“けむりプロ”の面々ではないだろうか.
今回の写真展では,その“けむりプロ”の一員である杉 行夫さんを筆頭に,“レイル”での中国大陸現役蒸機レポートでお馴染みの蔵重信隆さん,そしてやはりベテランファンの野口信夫さんと金澤 忠さんの4人による協演.
会場は三愚舎ぎゃらりー.都電荒川線の鬼子母神前(きしぼじんまえ)から徒歩数分.ちょっと目立たないから,もしかしたら通り過ぎてしまうかもしれないが,それはそれで鬼子母神堂(きしもじんどう)に立ち寄ってから,というのも悪くはない.

“おそれいりやの……”ではなく,雑司が谷の鬼子母神.都電の停留所名は“きしぼじん”だが,ここはやっぱり“きしもじん”でありたい.
さて,写真は,杉さん撮影の1960年代半ばから,ほかの3氏による1979年の廃線まで,蒸気機関車あり客車あり貨車あり,気動車あり,そして人々の姿が克明に記録されている.
そして極めつけは,蔵重さんが昨年訪問された廃線跡.幾つかの駅は保存され,あるいは失われた建物が復元され,と,ある意味,日本の廃線跡よりも文化的な香りの高い雰囲気を醸し出している様子がきっちりと紹介されているのである.
僕にとっての羅東は,訪れることができたはずなのに果たせなかった“悔恨の地”のひとつ.それだけに,会場を飾っている数多くの写真は,すべてが悔しさと憧れの対象なのであった.

現役時代の貴重な記録の数々.もちろん記録というだけではなく,優れた鉄道写真でもあるわけだが.

2008年の現地の様子.復元された駅舎は,現地産の桧で作られている.残念なのは屋根.日本瓦が入手不可能とのことで,代用品が使われていること.
メンバーの夢は,台湾現地…台北だけでなく羅東でも……で同じように写真展を開催することだという.実現すれば,必ずや大反響となることだろう.

メンバーのうち,杉さん(画面右),蔵重さん(その左),野口さん(その左).金澤さんは失礼してしまった.ごめんなさい.画面最左端はモデルス・イモンの井門さんである.