飛鳥山といえば,徳川吉宗が江戸に住む人々の憩いの場として整備して以来の公園.桜の季節には溢れんばかりの行楽客で大賑わい.その様子は京浜東北線や東北本線の列車から,あるいは都電の車窓からうかがい知ることができるが,今年のはじめ頃から,王子(関西人の僕は,未だに“王寺”と間違えて書いてしまうことがある……)駅に近い斜面を削り取る工事が行なわれているのが車窓から観察され,気になっていた.4月のはじめには,ミカン山などで資材や収穫物を運ぶために敷設されているモノレールとおなじようなレールが姿を現した.
 そこで4月下旬のある日,様子を見るために都電に乗って現地を訪問してみた.そうしたところ,北区の事業として“斜行昇降装置”を設置しているのだという.その時点では既に立派な“車体”も搬入済みであり,山の上と下とで乗降場の工事が盛んに行なわれているところであった.飛鳥山といえば,かつては通称“飛鳥山タワー”という回転展望台があって,その上から都電や国鉄の大俯瞰写真を撮影した思い出もある.15年ほど前に解体されてしまったが,解体される原因となった17階建の“北とぴあ”というビルが線路を挟んで反対側にあり,その最上階が,回転はしないけれども展望ロビーとなっているので,飛鳥山タワーからの風景とはまた違う視点から王子界隈を鳥の目で観察することができる.
 他にも東北本線のやや古いガーダー橋やその橋脚など,見て廻るポイント満載の飛鳥山界隈である.

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斜行昇降装置.斜めに動くエレベーターとでもいおうか.これも鉄道の仲間に含まれるだろうか.

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飛鳥山公園には新潟局装備のD51 853と都電の6000形(6080)が保存されている.D51の第3動軸にD50の刻印を発見した.寸法が共通だったのだろうか.

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都電の通り(明治通り)の向こうを流れる石神井川には,御茶ノ水の聖橋にそっくりなコンクリートアーチ橋“音無橋”が架かっている.

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東北本線を一跨ぎする“飛鳥山下跨線橋”は,古レール好きには見逃せない.

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“北とぴあ”から飛鳥山を一望する.運がよければ北王子に出入りするDE10牽引の貨物列車を見ることもできる.