東武鉄道鬼怒川線での蒸機列車運転プロジェクトについては,本誌の“いちぶんのいち情報室”でご報告し,またCoffee Cupでは昨年10月号や今年6月号でも私見を交えて記している通り,来年夏から鬼怒川線の下今市と鬼怒川温泉との間でC11牽引の蒸機列車を走らせようとするものである.
そして今年初夏には2輛の車掌車ヨ8000形がJR貨物とJR西日本から届き,8月には北海道から主役であるC11 207が到着,9月12日には火入れ式が催された.
関連イベントとしては東武博物館での企画展“東武鉄道から蒸機の煙が消えて半世紀”も開催されている…10月10日までだ!まだの方はお急ぎを!
点火之儀を執り行なう,根津嘉澄東武鉄道社長.写真:東武鉄道
報道公開の日,SL検修庫の前にたたずむC11 207.今回のプロジェクトでユニークなのは,大手私鉄が初めて手がける蒸機列車運転であること,しかも蒸気機関車や客車などの車輛を,鉄道本体ではなく東武博物館が借用や保有を行なうことにある.
さて,このC11 207に牽かれる客車はといえば,JR四国から12系2輛と14系4輛を購入すし,9月頃到着予定と発表されていた.輛数も多く距離も長いので,移送は鉄道…甲種輸送だろうと予想していたのだが,なかなかその情報が公開されない.どうなっているのかと思っていたら,9月28日にEF65 2139牽引の臨時列車で多度津を出発したというではないか.列車は一路東進し,翌日の深夜には高崎線の熊谷貨物ターミナルに到着した.
となれば,東武線への搬入は秩父鉄道線経由で羽生へ,となる.このルートは60000系の新造車搬入でも使われているから不思議ではない.ただ,到着直後に編成が分割されたことと,翌日すぐには輸送されなかったことが“謎”ではあった.
それが解明されたのは10月3日の朝.秩父鉄道の電気機関車にサンドイッチされた12系2輛と14系1輛が熊谷貨物ターミナルから武川へ向かい,そこで向きを変えて羽生まで回送された.そして羽生の駅では4輛編成の8000系が出迎え,3輛編成の800系が追い掛けてやってきて,今度は電車に挟まれて留置の上,終電後に発車して久喜で折り返し,南栗橋車両管区へと運ばれたというのである.
これらの“みたまま情報”は,ほぼリアルタイムでインターネット上に投稿され,僕は事務所にいながらにして状況を把握することができたのである.しかし時は11月号の追い込みウィーク真っ盛り…と思っていたら,いつもニュース写真を届けてくださっている石黒一明さんから,羽生駅での秩父デキ505と12系2輛+14系1輛と東武8000系という,前代未聞空前絶後の組み合わせ写真を寄せてくださった.
なんとも想像を絶する組み合わせ.模型でもこんな編成で運転しようなどと考える御仁は…ほとんどいないに違いない.羽生駅南方 平成28/2016-10-3 写真:石黒一明
続いて翌日には,やはりときおり写真を寄せてくださる土屋隆司さんからも羽生駅での情景が届いた.
二日目の羽生駅南方で14系客車3輛を待ち受ける81106.貫通扉にはかつての特急“瀬戸”のヘッドマークを思い起こさせるデザインのヘッドサインが.文字は“甲種輸送”.中央に東武,下方にはJR四国とJR貨物と秩父鉄道のロゴや社紋が描かれていて,各社が思い入れを込めてこのプロジェクトを進めたことを伺わせてくれる.羽生駅南方 平成28/2016-10-4 写真:土屋隆司
訓練でも何でもない,現実の風景.おそらくは空前にして絶後となるであろう,東武800系電車と14系客車の連結風景.羽生駅南方 平成28/2016-10-4 写真:土屋隆司
そして10月5日,東武鉄道から“10月5日(水)、JR四国より譲り受けるSL運転用の客車が当社南栗橋車両管区(埼玉県久喜市)に到着!”というリリースが公開された.
こうして東武鉄道のプロジェクトは着々と進行中.下今市駅での転車台設置工事も本格化していると聞こえてきた.車輛面ではJR東日本からのDE10 1099の到着を待つばかりである.
営業運転開始はまだ来年夏のこと.本線試運転は春から始まるとはいうものの,ほんとうに待ち遠しい限りである.
※2016.10.07:一部記述訂正
そして今年初夏には2輛の車掌車ヨ8000形がJR貨物とJR西日本から届き,8月には北海道から主役であるC11 207が到着,9月12日には火入れ式が催された.
関連イベントとしては東武博物館での企画展“東武鉄道から蒸機の煙が消えて半世紀”も開催されている…10月10日までだ!まだの方はお急ぎを!
点火之儀を執り行なう,根津嘉澄東武鉄道社長.写真:東武鉄道
報道公開の日,SL検修庫の前にたたずむC11 207.今回のプロジェクトでユニークなのは,大手私鉄が初めて手がける蒸機列車運転であること,しかも蒸気機関車や客車などの車輛を,鉄道本体ではなく東武博物館が借用や保有を行なうことにある.
さて,このC11 207に牽かれる客車はといえば,JR四国から12系2輛と14系4輛を購入すし,9月頃到着予定と発表されていた.輛数も多く距離も長いので,移送は鉄道…甲種輸送だろうと予想していたのだが,なかなかその情報が公開されない.どうなっているのかと思っていたら,9月28日にEF65 2139牽引の臨時列車で多度津を出発したというではないか.列車は一路東進し,翌日の深夜には高崎線の熊谷貨物ターミナルに到着した.
となれば,東武線への搬入は秩父鉄道線経由で羽生へ,となる.このルートは60000系の新造車搬入でも使われているから不思議ではない.ただ,到着直後に編成が分割されたことと,翌日すぐには輸送されなかったことが“謎”ではあった.
それが解明されたのは10月3日の朝.秩父鉄道の電気機関車にサンドイッチされた12系2輛と14系1輛が熊谷貨物ターミナルから武川へ向かい,そこで向きを変えて羽生まで回送された.そして羽生の駅では4輛編成の8000系が出迎え,3輛編成の800系が追い掛けてやってきて,今度は電車に挟まれて留置の上,終電後に発車して久喜で折り返し,南栗橋車両管区へと運ばれたというのである.
これらの“みたまま情報”は,ほぼリアルタイムでインターネット上に投稿され,僕は事務所にいながらにして状況を把握することができたのである.しかし時は11月号の追い込みウィーク真っ盛り…と思っていたら,いつもニュース写真を届けてくださっている石黒一明さんから,羽生駅での秩父デキ505と12系2輛+14系1輛と東武8000系という,前代未聞空前絶後の組み合わせ写真を寄せてくださった.
なんとも想像を絶する組み合わせ.模型でもこんな編成で運転しようなどと考える御仁は…ほとんどいないに違いない.羽生駅南方 平成28/2016-10-3 写真:石黒一明
続いて翌日には,やはりときおり写真を寄せてくださる土屋隆司さんからも羽生駅での情景が届いた.
二日目の羽生駅南方で14系客車3輛を待ち受ける81106.貫通扉にはかつての特急“瀬戸”のヘッドマークを思い起こさせるデザインのヘッドサインが.文字は“甲種輸送”.中央に東武,下方にはJR四国とJR貨物と秩父鉄道のロゴや社紋が描かれていて,各社が思い入れを込めてこのプロジェクトを進めたことを伺わせてくれる.羽生駅南方 平成28/2016-10-4 写真:土屋隆司
訓練でも何でもない,現実の風景.おそらくは空前にして絶後となるであろう,東武800系電車と14系客車の連結風景.羽生駅南方 平成28/2016-10-4 写真:土屋隆司
そして10月5日,東武鉄道から“10月5日(水)、JR四国より譲り受けるSL運転用の客車が当社南栗橋車両管区(埼玉県久喜市)に到着!”というリリースが公開された.
こうして東武鉄道のプロジェクトは着々と進行中.下今市駅での転車台設置工事も本格化していると聞こえてきた.車輛面ではJR東日本からのDE10 1099の到着を待つばかりである.
営業運転開始はまだ来年夏のこと.本線試運転は春から始まるとはいうものの,ほんとうに待ち遠しい限りである.
※2016.10.07:一部記述訂正