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“Toonaville Folks”(トゥーナビルの人々)をご存知でしょうか?1908~1955年にかけてシカゴポストで連載されていたフォンテーン・フォックス(Fontaine Fox)の1コマ漫画です。別名“Toonaville Trolley”(トゥーナビル・トロリー)といえば名前ぐらいは聞いたことがあるのでは?

この漫画は都会から少し離れたトゥーナビルという町が舞台です。主人公は白ひげを蓄え、やや腰の曲がったスキッパー(Skipper)というおじいさん、そして輪芯がずれたようにゴトゴトと上下左右に揺れる小さなトロリーです。脇役として力持ちで優しい妻のカトリンカ(Katrinka)、癇癪持ちのバン氏(Mr. Bang)など。要は古典的なドタバタギャグ漫画で、現実離れした表現が多い・・・というより、そんな表現ばかりです。トロリーを自宅の庭で洗車するわ、危ない場面ではトロリーを持ち上げるわ、大きな蒸気列車に追いかけられるわ、線路がなくても走ってしまうわ・・・

かなり人気のあった漫画なのでしょう。新聞に長期連載していたうえに、アニメ映画にもなっています。アニメは著作権の問題をクリアしているのかどうかわかりませんがネットに多くUPされています。ただ、原作漫画を国内で読むのは難しいかもしれません。外国の書店やオークションサイトを探せば、1972年に再編集されたものは比較的容易に手に入ります。

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1972年に再編集出版された“TOONERVILLE TROLLEY”(Weathervane Pub.刊)

模型は10年以上前、はぐるまや模型店がオープンしたころ、店内でブリキ?真鍮?製のティントイライクな製品(米国製)がOゲージ版とHOゲージ版で売られていました。もちろん欲しかったのですが、やや値段が高めでついつい買いそびれてしまいました。買っておくべきでした。今でも欲しい一品です。

それから数年して、ケムトロン(Kemtron)製のものを入手しました。トップの写真の模型がそれです。これは真鍮製で動力は同社汎用のダイキャスト製トラクションモーターを使用しています。塗装はオリジナルです。窓の雰囲気はよく表現されていますね。ただ、日本人として見ると、あの客窓は禅寺の火灯窓に見えなくもない。それが不思議な愛着を持つ一因なのでしょうか?はてさて。

この模型は作者の許可も貰ったと床下にプレートが貼られていました。たぶん50年近く前の製品だと思いますが、そのころから権利関係には大変律儀なお国柄だったのですね。

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床下には作者同意の下、模型化したとのプレートが・・・

さて、この漫画がアニメ化された時にBGMを担当した一人が、
レイモンド・スコット(Raymond Scott)です。作曲家であり、発明家であり、電子音楽の先駆者でもある多才な人です。ルーニーチューン(Looney Tunes:バッグス・バニー(Bugs Bunny)やポーキー・ピッグ(Porky Pig)が出るワーナーのドタバタアニメ)が有名ですが、このトゥーナビル・トロリーも担当していたんですね。これはアマゾンでも手に入ります。音源が古いので、CDとパソコンという組み合わせで聞いても、まるで古いオーディオで聞いているようなムードのある音が楽しめます。

あと2時間足らずで年明けですね。もう読んでいる人は年明けになりましたか?2010年も2009年同様、変化激しく、何もかも刹那的な年になるのでしょう。正月ぐらいミッドセンチュリーの世界に浸ってみるのはいかが?


あ、あと品切れ中の2010年新年号(東急特集)ですが、正月明けにアマゾンで再入荷(1月8日以降)が決定しました。もちろんetrain.jpでも。買いそびれた方はご活用ください。またお近くの書店で注文しても手に入りますよ。