
昨年、米国型ブラスファン向け『The Brass Train Guide Book』(Brass Guide Inc.刊)が発売されたことはご存じの方も多いでしょう。写真が豊富に収録された図鑑と発売年・価格・平均中古相場等が記載されたプライスガイドの2冊がセットになっていて、自分の持っている模型を詳しく知る上でこの上ない資料といえます。
そして今年、新しいデータや読み物が追加された『Price & Data Guide Volume2 2009 Edition』が発売されました。つまり図鑑は定番商品として変更はなく、この価格表のみが更新されたということです。この価格表が毎年発売されるのか、何年かに1度なのか、それともこれっきりなのかは分かりませんが、とにかくこれは2009年版だそうです。有名模型店やetrain Hobbiesでも発売予定ですので、要チェックです。ただし、もし昨年購入された方はプライスガイドのみ購入した方が良いでしょう。図鑑は昨年と同じです。
さて中身の価格表は良いとしてみどころなのは読み物です。いきなり黎明期のシェイ・ブラスモデル、鉄道模型社のシェイが掲載されています。
しかも、これは継ぎ手がボールジョイント版の大変珍しいもの。私も持っていません。以前、80年代の弊誌で最初のシェイは鉄道模型社で、酒井喜房氏がデザインし、駆動装置は祖父江欣平氏が考案したとのことが書かれていましたが、それがこれです。『The Art of Brass 2』(弊社刊)にも掲載されています。
この模型は1948年に初めて輸出されたそうです。そしてこれが製品としてのブラス・シェイの元祖だというのですが、私は少しその点には疑問が残ります。Oゲージを含めるならカツミの2 Truck Shayの方が先なのでは? カツミのシェイはプロダクツナンバーがC62の1に対し、2です。つまり戦後すぐに製品化されたことが予想されます。しかもカツミの方が炭庫の造作があまり良くありません。当時、Oゲージよりも先に造作の良いHOゲージが発売されるのも不自然です。私はカツミのOが最初だと思います。
話が脱線しましたが、私もこのシェイは普通の継ぎ手のものなら持っています。ただし、3台しかありませんから、これが一体何バージョンあるのかは分かりません。
3台をよく見て分かる違いといえば、初期と思われる方は台車が板組み、エンジン部は挽物&砂鋳物&プレスといった構成になっており、後期と思われる方は台車もエンジン部とも砂鋳物といったところでしょうか。

初期のもの。エンジンが挽物(シリンダー)と砂鋳物で構成されている。クランクシャフトカバーもプレスで別体とかなり凝っている。おかげですっきりとした印象。

後期のもの。エンジンが一体の砂鋳物に変更されている。仕上がりも若干粗い。
いつかここら辺は記事にしたいと思います。しかし、この辺りを最初のトピックに取り上げるとは、Brass Guide Inc.の社長は相当の好き者ですなぁ。